〈たべるかう〉酒場回遊記
Bar hopping

|2016.04.20

vol.1 八重洲 「八重洲大飯店」「三六」

なかだえり文・絵

イラストレーター。建築デザイナー。1974年岩手県生まれ。法政大学大学院建築科修士課程修了。取材執筆、挿絵、法廷画など幅広く活躍。著書に『駅弁女子』『東京さんぽるぽ』『奇跡の一本松 大津波をのりこえて』など。

八重洲はおじさんたちがワイワイガヤガヤいっぱい生息しているというのが、かつてわたしが持っていたイメージだ。
しかし最近はそういった酒場的な雰囲気も保ちつつ、少しずつおしゃれに整備が進み、以前よりとっつきやすくて快適になった。方向音痴なわたしは迷ってしまうが、それも新たな店の発見にもつながって楽しい。

北京料理「八重洲大飯店」

〜んっ、「爛鶏煨麺(特製鶏の煮込みそば)」うまし! 女子友にすすめられた逸品は、ホッとする優しい味だった。前々から大きな看板が気になっていた「八重洲大飯店」にいよいよ足を踏み入れてみた。
 味もさることながら、とっても不思議な空間に、しばしキョロキョロしてしまう。中華と思いきや、一階は和風の欄間や竹垣のような装飾があったり、吹き抜けを介した半地下!?と中二階!?的なフロアは本やレコードがあるジャズ喫茶のような、書斎のような趣味的空間となっている。聞くところによると、二階以上には円卓や個室や宴会場もあるとか。つまりフロアごとにコンセプトが違うようだ。
 お店の方に歴史を聞いてみると、戦後まもない一九四五(昭和二十)年、小さな中国料理店として東京駅前で出発。六七年に現在のビルにしてから、この地でこの一店舗だけで続けている。調理長やスタッフも開店以来勤めている人が多いのだとか。
 どんどん新しい店が増えている八重洲にとって貴重な存在だ。なんだかキツネにつままれたようだったので、もう一度確認に行きたい。そしたら長くはまりそうな予感がする。

「爛鶏煨麺(特製鶏の煮込みそば)」(1200円)、「かに味噌と白菜煮」(1900円)には迷わず出し老酒グラス(560円)を。 全体に癒し系のマイルドな料理が多い。

もつ焼き「三六」

の酒場激戦区で女性はどこでもつ焼きを頬張るべきか。ならば迷わず「三六」をおすすめしたい。ひっきりなしに客が押し寄せるが臆することなかれ。
 第一に新鮮で種類豊富なモツがおいしい!希少な部位を、素材の特性を生かした調理法で食べさせてくれる。結構モツ経験があると自負していたが、ここのはひと手間かけたぶんの違いがある。あとは順不同に、ポーションが小さくて重くない(つまりいろいろな種類を食べられる)、お通し的なサービスのサラダが箸休めにもおつまみにもなるといったヘルシー気配り、明るくて元気で、かと言って押し付けがましくないサービス、一凍二冷の「シャリキン」。そして庶民的な雰囲気にお客さん同士もフレンドリーに交流がはじまる。

 なにせ月間五千人、年間六万人のお客さんが来る人気店だ。ほかにもまだまだ良い点があるんじゃないかと思う。

「たん刺」(530円)は表面をボイルし、その中心部のみを食す。レアというかほぼ生の食感だ。「ハチノス(牛第2胃袋)の串焼き」(230円)は2時間半も煮込んでから焼く。一番人気の「れば串焼き」(150円)はすぐ売り切れるのでお早めに。 市場の休みの関係で月曜はナシ。「どて煮込み」(660円)は八丁味噌の和風仕立て。デミグラスソースのように濃厚。「ガーリックトースト」(110円)を合わせるべし。通称「シャリキン」金宮ホッピー(480円)。焼酎「金宮」を凍らせて氷を入れずにホッピーを注ぐ口あたりなめらかなこだわりのホッピーのこと。「三冷」はグラス、中(金宮)、外(ホッピー)を冷やしたもの。シャリキンは「一凍二冷」。シャリシャリに金宮を凍らせたもの。(値段はすべて税抜)

東京人 2015.01より提供
INFORMATION

八重洲大飯店

住所
東京都中央区日本橋3-3-2
電話番号
03-3273-8921
営業時間
11時30分~22時30分(22時LO)
定休日
日祝
Webサイト
http://chuuka.com/

もつ焼き「三六」

住所
東京都中央区八重洲2-1 中4号 八重洲地下一番通り
電話番号
03-3243-0369
営業時間
11時~22時30分(21時45LO)、ランチは~15時(14時30分LO)
定休日
無休(八重洲地下街の営業に準じる)
Webサイト
http://miroku-motsu.jp/
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