〈むかしみらい〉 地元企業物語
Campany's story in our town

|2016.10.04

Vol.11 珠屋小林商店直営 ニコスコーヒーショップ

今も皇室に愛されるコーヒー店。


京橋にある珠屋小林商店は、コーヒー業界で唯一、自家焙煎したコーヒー豆を宮内庁に納める会社だ。昭和12(1937)年、初代社長の小林正男さんがキーコーヒーを退職して創業した。16(1941)年に陸海軍御用達となり、戦後の混乱が落ち着いた27(1952)年、宮内庁御用達に指定された。

その経緯としては、陸海軍の御用商人だったことに加え、もうひとつ社内で語り継がれている理由がある。
「大正から昭和にかけて宮内省(のちに宮内庁)で主厨長を務め、〝天皇の料理番〟として知られる秋山徳蔵さんに味を気に入っていただき、それから納めるようになったと聞いています」
入社して40年以上という、珠屋小林商店の営業企画開発部長・津田潔さんはそう話す。

宮内庁御用達制度は、昭和29(1954)年に廃止された。商業機会均等という、民主主義の精神に応えることが背景にあった。制度が廃止されたあとも、珠屋小林商店では宮内庁にコーヒー豆を納入し続けている。皇室の方々が日常的に飲まれるためのコーヒー豆をはじめ、春と秋の年2回開催される園遊会と宮中晩餐会で出されるコーヒー豆などを今日も納めている。

皇室に納入している豆とまったく同じものは販売されていないが、近いタイプの豆は「ロイヤルブレンド」という名前がつけられ、珠屋小林商店直営の「ニコスコーヒーショップ」で20年以上にわたり販売されている。
「コーヒー豆は農産物なので、毎年出来に違いがあります。それを熟練した職人が見極め、配合や焙煎具合を変えることで、ブレのない味に仕立てています」と、津田さんは胸を張る。

コロンビアとブラジルを基本にしたロイヤルブレンドは、酸味と苦味のバランスがほどよく、芳醇なコクがある。そして、飲み終わったあとのさわやかさがなんとも言えない。店内でもハンドドリップで一杯ずつ淹れたロイヤルブレンドコーヒーを味わうことができる。

ニコスコーヒーショップは、1996年に珠屋小林商店の直営店として開業。ロイヤルブレンドコーヒーは店頭およびHPからも注文できる。

珠屋小林商店直営 ニコスコーヒーショップ
住所: 中央区京橋1-14-10
TEL: 03-3651-2127
営業時間: 8時〜17時30分
定休日: 土曜・日曜・祝日
WEBサイト: http://www.tamaya.coffee/


TEXT:金丸裕子、 PHOTOGRAPH:渡邉茂樹
東京人2016年7月増刊より転載

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