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〈さんかする〉イベントレポート
Event report

|2023.04.11

YNKエリアに春を告げるイベント「Meet with Flowers in Tokyo YNK」開催レポート

八重洲、日本橋、そして京橋のYNKエリアに春を告げるイベント「Meet with Flowers in Tokyo YNK」。花農家やフラワーアーティスト、通行人も巻き込みながら約1カ月間、エリア内の商業施設を中心に花にまつわる様々なイベントが催されました。

第3回目となる今回も多くの人のお目当ては花の無料配布「エールフラワー」。花を育てている全国の生産者を応援し、花需要を喚起することを目的に2021年から続いている企画で、今年は台風被害や新型コロナにより特に大きな影響を受けた生産者から買い取った生花約7,000本が配布されたそう。ちなみに、花の包装袋にもバイオマスを主な原料とした鮮度保持フィルムが使われており、とことん花にも地球にもやさしいSDGsフラワーイベント、それが「Meet with Flowers in Tokyo YNK」なんです。

本記事では、たくさんの笑顔の花が咲いたエールフラワーと、配布会場を彩ったフラワーアートを写真でレポートします。

まず訪れたのは、東京駅や銀座、日本橋に隣接する京橋に位置し、建物周囲を覆う豊富な緑が印象的な複合ビル・東京スクエアガーデン。中央通りから建物西側への貫通通路入口両側に展示された、現代華道家の大薗彩芳さんによるいけばな作品が出迎えてくれました。

大薗彩芳さんの作品【indestructible blossoms】。土台には自然が生み出した廃材である「流木」「髑木」を、上部の花材には、水のない環境に強くそのままドライフラワーとなる「ハイブリッドスターチス」「エリンジューム」を使用。さらに、ビルの廃棄物であるペットボトルを使用した“枯れない花”が随所に散りばめられています

大薗さんは昨年、「草月いけばな展」新人賞を受賞し、 いま大きな注目を集めている現代華道家で、「Meet with Flowers in Tokyo YNK」では、東京スクエアガーデンに大作2点を制作。イベントのテーマ「持続可能な〈花のある暮らし〉を。」に基づき、ペットボトルやオフィス家具を使って新たな生命を吹き込んだ作品で、鑑賞者の共感や感動を呼び起こしていました。特に目立ったのは、作品の前で写真を撮ったり、作品の隅々まで熱心に鑑賞する外国人旅行者の姿。既成の概念にとらわれない、ダイナミックかつ繊細な草月の「いけばな」に魅了されたようです。

大薗彩芳さんの作品【reincarnation】。YNKエリアのオフィスから排出された使用済みのオフィス家具を、花を留める“花留め”として転生させ、新たな生命を吹き込んだ作品。花材には、「藤蔓」「馬酔木」や「アンスリウム」が使用されています

3月19日(日)と3月27日(月)には、公開生け替えイベントも実施。各日飾り終えた100本超の花材のアンスリウムは集まった観客に配布され、あっという間になくなりました。

同じく大好評だったエールフラワー。東京スクエアガーデンでは主にオフィスワーカーや来館者が思いがけない花のプレゼントに、花が咲くようにぱあっと笑顔に。見ているこちらも嬉しい気持ちになりました。

続いて向かったのは、東京スクエアガーデンから徒歩10分ほどの東京建物八重洲ビル。こちらには、フラワーアーティストの相壁琢人さんによる、会期中に花が朽ちて変化していくフラワーオブジェと、相壁さんとカメラマンの田中生さんのユニット「ahi.」による写真作品が展示されていました。相壁さんの作品に通底するのは、「花の生命」。人々が満開の花や綺麗な状態の花に一喜一憂する横で、植物は淡々といまを生きています。刻々と変化するからこそ一瞬一瞬の姿は美しく、目に焼き付けたい——。そんなことを気付かせてくれる優しい作品群でした。

左)相壁琢人さんと田中生さんのユニット「ahi.」の作品【Paradigm Shift】。新型コロナ一色に覆われた2020年から制作を続けている作品シリーズということで、写真におさめられた“咲き誇る一瞬の永遠”は、暗い世の中に光をさしてくれるよう
右)相壁琢人さんの作品【Flowers never die】。装花期間中にドライフラワー化させることを狙った本作の見どころはなんといっても、日々変化する植物の自然美

そして街に目を向けると、エールフラワーが絶賛配布中。中小のオフィスビルと飲食店が混在し、昼時ともなるとオフィスワーカー以外にも配達員や工事現場で働く人などがランチを求め、せわしなく行き交う八重洲の街で、エールフラワーが一服の清涼剤のように感じられたのが印象的でした。

最後に回ったのは、東京建物八重洲ビルの目と鼻の先に位置する東京建物日本橋ビルです。こちらにも、相壁さんのフラワーオブジェと写真作品が展示されていました。中央通りと永代通りが交差する「日本橋交差点角」に出現した鮮やかなフラワーオブジェに感嘆のため息をもらす人も。花や葉が放つ香りでも人々の五感を刺激していました。

左)相壁琢人さんの作品【生命の循環】。フラワーアーティストとして日々大量に消費されていく花の現状に触れ、その朽ちていく過程まで愛でる覚悟を決めたという相壁さん。本作では、草木や花がやがて枯れ落ちて土に還り、その土の養分を元に新しい植物が生長する不断の生命の循環が表現されています
右)相壁琢人さんと田中生さんのユニット「ahi.」の作品【Domestic Flower】。品種の異なるふたつの花を組み合わせ、一輪の花姿として写真で捉えた作品シリーズ。”共に支え合って生きる大切さ”がストレートに伝わってきます

東京建物日本橋ビルのエールフラワーは、その立地ゆえ自転車に乗って来られる人や、食事や買い物目的で日本橋を訪れた家族や友人グループが多く見受けられ、花を手に記念撮影やおしゃべりが弾んでいました。

花にアート、街歩きにSDGs、たくさんの要素が盛り込まれた、「Meet with Flowers in Tokyo YNK」に参加して気持ちも明るく、いい年度のスタートが切れそうです。

撮影:森カズシゲ

関連サイト
Meet with Flowers イベントWebサイト: https://meetwithflowers.com/
過去のMeet with Flowersに関する記事一覧: https://guidetokyo.info/tag/?tagword=mwf
 

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