|2020.03.13
ARTIZON MUSEUM
illustration:Yu Yokoyama text:Tomoko Ogawa
ねぇ、知ってた?EATSはアートな街。
EATSは実は、小さな古美術店や画廊が多く点在している地域。
〈ブリヂストン美術館〉から館名を変更し、新しい美術館として
オープンする〈アーティゾン美術館〉が京橋エリアの新しい顔になる!?
古きと新しきが調和する、新たなアートの地平線。
ブリヂストンの創業者・石橋正二郎が創設し、公益財団法人石橋財団が運営してきた私立美術館〈ブリヂストン美術館〉。
1952年から培ってきたDNAはきちんと引き継ぎつつも、2020年1月をめどに、館名も改め、
〈アーティゾン美術館(ARTIZON MUSEUM)〉として再始動するという。いったいどんな新しい美術館になるのだろうか?
新築23階建ての高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の1~6階で展開される新美術館のコンセプトは、
「創造の体感」。従来の印象派、日本近代洋画、20世紀美術に加え、古美術、現代美術といった幅広いジャンルの作品が並ぶのは、
最新の照明設備や空調設備、古美術室が設置される、4~6階の3フロアの展示室。
コレクション展示のみならず、古美術、西洋美術、日本近代美術、現代美術など専門分野の異なる12名の学芸員が担当する、
バラエティに富んだ企画展を開催予定だ。約2800点の石橋財団コレクションの中から選りすぐりの約200点で構成される開館記念展では、
その1割にあたる、印象派を代表するメアリー・カサットやアルベルト・ジャコメッティなどの新収蔵作品が約30点披露される。
内装は、2005年にミラノサローネの若手登竜門として知られる、サローネ・サテリテで最優秀賞を受賞した3人組のデザインユニット、
「トネリコ」が担当。石や金属などスペースを構成する素材も含めて、アートを総合的に楽しむことができる新しい空間となる。
もちろん、変わらない部分もある。かつては作家・武者小路実篤も登壇した、開館以来続く各種専門家による「土曜講座」や、
学芸員によるギャラリートークなど、〈ブリヂストン美術館〉時代からの人気の活動も、引き続き楽しめるのはうれしい。
ビジネス街でありながら、一歩踏み入れると、昔ながらの面影が残る京橋。「ふとした路地からタイムトラベルが楽しめる
この街と同じく、伝統を大切にしながら変化していく美術館を楽しんでいただきたい」と広報課の松浦彩さんは話す。
アーティゾンは、「ART」と「HORIZON(地平)」を組み合わせた造語。世代、地域を超えて、多様な作品がぶつかり合いながら
創造されるアートの新たな地平を目指し、創造を体感し、創造を支える。そんな新しいミュージアムの誕生が、
今から待ち遠しくてならない。
幅広い時代・ジャンルの作品と出合える美術館。
印象派のルノワール、モネ、セザンヌ、ゴーガン、黒田清輝、藤島武二、藤田嗣治といった日本近代美術、
20世紀美術の巨匠ピカソ、マティス、彫刻家のロダン、カンディンスキー、パウル・クレー、
ジャクソン・ポロックなどの20世紀美術までを収蔵。
古美術
円山応挙
《牡丹孔雀図屏風》1781年
日本近代洋画
藤島武二
《黒扇》1908-09年
西洋近代美術
ポール・セザンヌ
《サント=ヴィクトワール山と
シャトー・ノワール》1904-06年頃
20世紀美術
ワシリー・カンディンスキー
《二本の線》1940年
新収蔵
アルベルト・ジャコメッティ
《矢内原》1958年
※Hanako SPECIAL ISSUE 「東京イーストエリアマガジン」(2019年10月発行)より転載