旧貴賓室を利用したセミナールームは重厚感たっぷり。
あちこちに往時の面影を見ることができる。
ここでは企画展に関連するセミナーやイベントを実施。
モダンな印象を与える二重格子の壁。
エレガントなカーテンフックは真鍮製。
寄木細工の技巧を凝らした床。
漆喰の天井には鳳凰や蓮の花、アカンサスなど縁起のいいモチーフが随所に。
建物を設計した高橋貞太郎は日本の伝統建築のデザインを随所にちりばめた。カーテンレールには釘を隠すための装飾“釘隠し”を施している。
【重要文化財の建物は、二人の建築家が手がけた。】
本館の第1期部分は高橋貞太郎が設計。高橋の意匠を継承しつつ、近代建築の手法を取り入れた村野藤吾によって4度の増築を重ねた。全体が見事に調和した建物は増築建築の名作として高く評価され、2009年に重要文化財に指定。
【美しい彫刻を施した正面口の鉄の扉。】
鉄扉には、東洋で愛好されている雷紋と古代ギリシアの彫刻でも多用されるアカンサスのモチーフを融合。重厚な扉は閉じると防火の役目も果たす。戦時中、戦火が街を襲った時、多くの人が〈日本橋髙島屋〉に逃げ込んだという。
【日本の寺院建築の意匠があちこちに。】
西洋様式に和風建築の意匠を取り入れた高橋貞太郎。天井には仏堂などで見られる格子を組み、釘隠しの装飾を。正面2階の窓の上には、寺社の階段の柱につける擬宝珠(ぎぼし)や蟇股(かえるまた)の装飾を凝らしている。
【大理石の柱が並ぶ吹き抜け空間。】
1階と2階の吹き抜け空間はイタリア産の大理石の柱を贅沢に4本連ね、豊かさを演出。シャンデリアは創建当時は高橋貞太郎デザインだったが、戦時中の金属回収令により供出したため、現在は村野藤吾がデザインしたものに。
【南側壁面には笠置季男の塑造が。】
さくら通りに面した建物南側の5階の壁面に白蛇のような彫刻が。これは抽象彫刻の先駆者として知られる笠置季男(かさぎすえお)によるもの。ちなみにタイトルは不明だそうで、どのように観るか鑑賞者に委ねるアートだ。
【いまだ現役の手動エレベーター。】
案内係が手動で操作するレトロなエレベーターは〈日本橋髙島屋〉の顔。開店時に導入されたオーチス社製のものは改修や機械のアップデートを重ねながら現役で活躍。1、2階のエレベーターホールは木目調の大理石を使用。