〈たべるかう〉この街の多様性を象徴する店
Shops that symbolize the diversity of EATS

|2020.02.20

ふくべ [八重洲]

photo:Satoshi Nagare, Keiko Ichihara   text:Noriko Maniwa
 
老舗も多いが、実は勢いのある“挑戦者”が集まる東京駅イースト界隈。
そこに生まれるのは異なる文化、年代、層との交流で生まれるケミストリー。
このエリアで躍動し、進化する20の名店を訪ね、EATSの魅力を体感しよう。

 

ファミリービジネスの未来


伝統を守るだけでは、代々続く老舗でも存続は難しいのも事実。
時代に寄り添って日々変革していながら、本質は変わらない。
EATSの未来を見据える老舗は、次世代に続く名店として輝く。

 

新幹線と歴史を共にする、 八重洲のいぶし銀酒場。

左:いぶし銀のように渋い昭和の酒場。なかでも歴史を感じるカウンター席は映画のセットのよう。手前が大将の北島正雄さん、奥が3代目正也さん。
右:灘の酒・菊正宗の樽酒が〈ふくべ〉の定番。注がれるたびに木の香りを感じる。鮭ハラス焼きやくさやなど、日本酒を引き立てる肴は絶品。

変容しているのに変わらない、それが愛される老舗の条件。


3階を住居とした〈ふくべ〉が建ったのは、東海道新幹線が開通した1964年。集団就職により上京した初代は酒屋で修業後、独立した。

「東京駅は出稼ぎ労働者の玄関口。故郷へ帰れなくても、せめてふるさとを思いながら頑張ってほしいと各県の地酒をそろえたそうです」とお燗をつけながら語る2代目の北島正雄さん。「今は出張帰りのサラリーマンが立ち寄ってくれていますね」。86歳で亡くなる前日まで店頭で働いていた初代の後を継いだ。定年まで金融機関に勤めており、しかも三人兄弟の末っ子。店を継ぐことは想定していなかった。「金融業界と酒場という違いはあれど、カウンターで親身にお客様と対面するというのは今までの職と一緒ですからね」と微笑む。このやわらかい物腰がぬる燗のように心をほぐしてくれる。

2年前まで福祉関係の職に就いていた正也さんも3代目となり、正雄さんを大将と呼ぶように。
東海道新幹線が開通したのは東京オリンピックが開催された年。〈ふくべ〉は来年、二度目のオリンピックを迎える。
 

左:たらこ700円、しめ鯖650円など素材の味を生かしたシンプルなメニューが中心。木曜のすじソテーや金曜・土曜の奥久慈のゆで卵など日替わりの限定メニューも人気。
右:全国各地の地酒が常時40種以上そろう。

INFORMATION

ふくべ

住所
東京都中央区八重洲1-4-5
電話番号
03-3271-6065
営業時間
16:30~22:15LO(土~21:15LO)
定休日
日祝、第1・2土
※Hanako SPECIAL ISSUE 「東京イーストエリアマガジン」(2019年10月発行)より転載

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