〈たべるかう〉 老舗の「粋」指南
"IKI" Lessons from the long-established stores

|2017.03.24

第7回 京橋に息づく伝統の品 ―京はし 満津金―

昭和6年創業の「金陽社印刷所」が運営する「京はし 満津金」は、“江戸や京橋を画題に印刷で表現を”とのコンセプトが
魅力の店舗だ。そんな同店で話題を呼んでいる商品について、同社代表であり店主の細田剛社長に話を聞いた。

「特別感があり好評なのが「至高の名刺」です。銅版印刷・活版印刷の2種類の技法を用いており、とりわけ活版印刷は
デザイナーが再注目したことでブームになっていて、さらに指名をいただくようになりました。」

触ってみると彫りが感じられ、得も言われぬ重厚感が味わえる。また、一般的な名刺とは異なり、表面には名前しか印字
されておらず、書式もひと味違う。

「人となりを表す際、住所や電話番号などは不要。それが私共の考えです。どうしても入れたい場合は裏面でご対応して
います。また、名刺にも礼装と等しくフォーマルな形があるとの理念で特別なタイポグラフィを用い、書体もフォーマルと
準フォーマルをご用意しています。」

ひと目見るだけで魅了される名刺だが、どんな方からのオーダーが多いのだろうか。
「企業の代表者や重役の方々ですね。値段もそれなりにするので、成功者の証として誇りを表すためにも
ぜひご活用ください。」

 

天保年間にはじまった技法、注染によるてぬぐいは、和の趣が堪能できる。

「本染めとも呼ばれ、特徴は裏表を同じに染められること。天然素材なので手触りもよいです。もともと柄が細かいものが
主流でしたが、最近では額に入れて飾る人が増え、一枚物で柄が表現されたデザインの売れ行きがいいですね。」

現代でも歌舞伎役者が盆暮れにてぬぐいを持参して挨拶まわりを行う文化にならい、企業も積極的に取り入れてみてほしいと語ってくれた。

「京橋エドグランの竣工披露パーティー用にご依頼いただいた際は、京橋三丁目先に建つ擬宝珠に彫られている
“きやうはし”を表現し、“きやう”を江戸文字、“はし”を京橋エドグランの外観テーマである江戸格子になぞらえた
オリジナルデザインの京橋格子てぬぐいを作り、当店ならではのパッケージに入れたところ、非常に好評でした。
ご挨拶時のみならず、こうした使い方にも最適です。」

満津金の看板商品として人気を集める御朱印帳は、他店とは一線を画す逸品だ。持ち込み生地で作れる唯一の店舗のため、
わざわざ遠方から足を運ぶ人も少なくないという。

「御朱印帳は、来世に旅立つとき棺に入れてあげるのが習わしです。白装束ではどこの誰だかわかりませんから、神仏との
縁を結んだ証として、守って頂くためのもの。だからこそ、想いのこもった自分だけの御朱印帳を作ってほしい、との願い
でお誂えしています。」

スタンプラリーのように楽しむ人も少なくないが、本来の目的を知ると満津金の御朱印帳は格別に心に響くものがあるはずだ。

「最期に御朱印帳を一緒に棺に入れる際、凛とした状態を保てるクオリティをベースに、丈夫で、飽きのこないデザインに
加え、御朱印の書き手が書きやすいものを。このため、氏神様である日枝神社に数種類の紙を持ち込み、実際に神主さんに
書いてもらい紙を選定しました。他店より厚みがありますが、製品化に成功したのは印刷会社ならではの製本技術の賜物。
また、“大事なものを保存する”アルバムの概念を活かし、表紙にクッション材を入れ、ふっくらさせているのが特徴です。」

もっともこだわったのが「見返し」だという。

「見返しは表紙と本文をつなぎあわせ、御朱印を保護する大切な役割を果たしています。見返しがある事によって表紙を
取り替える際に少しでも本文を傷めずにすみます。また装丁の美しさを意識し、吉祥文様である二葉葵が描かれている厚手
で丈夫な美しい紙を使用しています。最終ページの名入れや、保管用の化粧箱入りの仕様はすべて、“御朱印帳はたいせつ
なもの”という当店ならではのこだわりです。」

用意されている生地もそうそうたる代物ばかり。どんなセレクトなのだろうか。

「鹿柄の有栖川宮家紋様や、武田信玄でおなじみの武田菱など、特別な柄・生地を揃えるように尽力しておりますので、
お気軽にご相談ください。」

そんな満津金の御朱印帳に魅せられたお客様の声を聞いてみると、違いが一層伝わってくる。

「毎月定期的に出かけるために主人と一緒に御朱印集めをはじめました。亡くなった祖母が生前、お茶の先生をやっていた
ため着物を沢山もっており、売っても二束三文になってしまうしどうしようと悩んでいたところ、生地を持ち込みで作れる
と聞き、お願いしました。良い思い出になるだけでなく、満津金さんの御朱印帳は重厚感があるのでおすすめです。」

「御朱印集めをはじめたことで神社仏閣の見方が変わりました。所作が綺麗になったのもうれしい変化ですね。満津金さん
には自分の着物で御朱印帳を作りたくて訪問しました。七福神用など種類をわけて何冊か作りたいと考えています。」

魅力たっぷりの商品を取り揃える満津金で、ぜひ自分のお気に入りを手にしてみてほしい。

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