神輿を担ぐことをためらう人も、まずはまちを訪れ、行事に参加してみてはいかがでしょう。
町会の面々が、両手を広げて待っています。
京橋消防団第二分団分団長・山本 昌さん
「団員の中に、今や居住者はゼロ。不測の事態に駆けつけられないことが多く歯がゆい」と分団長の山本昌さんは語る。京橋で文房具店を営む家に生まれた山本さんもしかり、90年代ごろから住民が激減。現在、団員数は20名必要なところ11名だ。
「連合町会から消防団に『災害時のマニュアルを作ってほしい』との要望をいただいています。僅かでも存在する居住者を守ることが使命。災害時に周辺企業に協力を仰げる体制も作りたい」と意欲をみせる。平均年齢は30代で、女性も3名所属し華やかだ。「縁ある方なら地域貢献の一歩として、ぜひ入団を」と強く語る。
京橋地域総合防災訓練
昼間人口が圧倒的な京橋エリアで、企業が旗を振り、町会や行政をも巻き込んだ、大規模な防災訓練が実施されている。
2005年に、社屋が隣り合う企業同士(国際紙パルプ商事、全国信用協同組合連合会、戸田建設、ブリヂストン)と周辺町会(現五町会)が「京橋一丁目災害協議会」を締結。08年から協議会以外の企業や消防警察、区も連携して「京橋地域防災訓練」を年1回実施している。
ポイントは災害発生後、すみやかに参集し(目安5分以内)、「合同対策本部」を設置すること。「公的な消防・救護の開始が想定される発生後3日までの間、『支援要請』を集約し、地域で自助・共助を行うことが大切です」(戸田建設)。参加者は約3000人規模まで拡大。2012年に都の第1回東京防災隣組に認定され、防災大臣賞を受賞した。
幹事企業の戸田建設は、京橋一丁目に本社を構えるゼネコンとして、「災害時のインフラ復旧支援は、建設業の社会的使命」と防災活動に精力的だ。先の東日本大震災で、京橋は合同対策本部設置基準の震度五強に至らなかったが、社員が住民安否確認を実施、帰宅困難者支援でも迅速な取り組みが話題に。日頃から「自衛消防隊」を組織、災害対応能力の向上に努めている。
復活!京橋二丁目盆踊り
9月上旬/京橋中央ひろば(京橋エドグラン1階中央通り側広場)
主催:京橋二丁目東、西町会
2016年オープンの再開発ビル・京橋エドグランを舞台に、銀座と日本橋に挟まれて来街客の認知が薄くなってしまった京橋に「賑わいを取り戻そう」と、約50年ぶりに、京橋二丁目「盆踊り」が復活した。民謡連盟や、大規模な盆踊りを毎年開催している八丁堀の住民にも踊りの指導を受ける徹底ぶり。
夏の「踊り納め」にあたる時期に、2日間で約3000人ほどが集まった。
「京橋大根河岸おもてなしの庭」桜を愛でる会/秋の収穫祭
桜を愛でる会 3月下旬、秋の収穫祭 11月下旬/京橋大根河岸おもてなしの庭 京橋三丁目ブラザー工業前
主催:京橋一之部連合町会
戦後の瓦礫処理で埋め立てられるまで、京橋と銀座の間には京橋川が流れ、昭和のはじめまで京橋大根河岸という青物市場が広がっていた。活気を取り戻そうと、地元の京橋三丁目町会が東京大学石川幹子教授らとNPO法人を設立。京橋大根河岸公園を花や樹木で満たす「京橋大根河岸おもてなしの庭」を立案し、「環境デザイン賞」(公財都市緑化機構・第一生命保険)を受賞、補助金など得て2017年に完成した。
3月下旬には「桜を愛でる会」(夜桜鑑賞、バンド演奏、お囃子など)が、11月下旬には大根河岸の歴史に因んだ「秋の収穫祭」(江戸野菜無料配布、物品販売、餅つきなど)が開催される。
京橋一之部連合町会青年部「京橋はじめ会」は、警察や区と協力して、2003年から毎月1回、防犯パトロールを実施。違法看板などに目を光らせる。ビル荒らしの被害が減少した功績で、2015年に中央警察から表彰を受けた。
また、緊急時に対応できるよう、多くの会員が普通救急救命の講習を受講している。
違法駐車にも目を光らせる。公共財団法人東京都道路整備保全公社
京橋一丁目地下に営業所を構える公益財団法人東京都道路整備保全公社は、2004年から「京橋はじめ会防犯パトロール」に参加。東京都八重洲駐車場はじめ区内5カ所にある都の駐車場の指定管理者である同社は、パトロールに参加するとともに路上の違法駐車削減の啓蒙活動も行う。
「都や警視庁の取組みで京橋周辺の違法駐車は減少傾向にありますが、それでも時折見かけると、『近場に駐車場がありますよ』とお声掛けして駐車場へ誘導するようにしています」(同社都営駐車場担当係長髙橋さん、笠間さん)。
快適な地域環境は、こうした地道な声掛けから守られている。
※下町連合発行、月刊東京人制作「山王祭」2018年より転載