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|2020.04.28

地域で支え合う、テイクアウト情報サイト「日本橋おべんとう倶楽部」オープン

日本を代表するビジネス街であり、また、東京駅という集客拠点を有する八重洲・日本橋・京橋エリアには、長年愛され続ける飲食店が数多くあります。当サイトでも、古き良き文化が根付く老舗や、肩の力を抜いて過ごせる酒場など様々な店をご紹介してきましたが、今回取り上げるのは、テイクアウト情報サイト「日本橋おべんとう倶楽部」、通称“べんくら”。4月13日(月)、同名のFacebookページと同時に開設されました。

“べんくら”の発案者は、中央区議会議員の富永一さん。1913年(大正2年)から続く日本料理店「八重洲とよだ」と、人形町にある姉妹店「多良々」の経営もされています。新型コロナウイルスによる外食業界への影響は察するに余りありますが、一方で、地域の繋がりを生かした支援の仕組みも機能しつつあり、“べんくら”もそのひとつです。「4月7日の緊急事態宣言が与えた影響は大きいなんてものじゃない。直撃だった」と話す富永さんは、そこから驚くほどのスピードで「決断」と「行動」を重ねていきます。

左)「僕ら料理屋は、旨い料理をお客さんに食べてもらって喜んでもらうことしかできない」と話す富永さん(右手前)
右)「多良々」のボリューム満点のお弁当

まず、エリアの再開発のため5月いっぱいの営業を決めていた「八重洲とよだ」の閉店を4月10日(金)に前倒し。翌日には、飲食店仲間のテイクアウトメニューの取りまとめと情報発信について、地元で制作プロダクションを営む前田信孝さん(株式会社イメージング・ワークス代表取締役)に相談。そして13日(月)の“べんくら”オープン時には、「多良々」の弁当をはじめ、富永さんの呼びかけに賛同した複数の店のメニューがサイトに並びました。

「地元のお弁当を売り出すというので、じゃあ、うちの会社でホームページをつくるよ」というノリだったと振り返る前田さん。もともと、日本橋料理飲食業組合といった地元の組織あるいは、企業や店のホームページ管理など、地域に密着した仕事を多く行っている前田さんが「自分でも驚く集中力」で取り掛かった新たなサイト“べんくら”は、発案からドメイン取得・制作アップまでわずか1日。富永さんは「大変な時に何か手伝いたい」と言ってくれる仲間の存在に感謝し、自分もまた「前を向き続けたい」と言います。

左)1935年(昭和10年)創業の割烹「日本橋ゆかり」の穴子弁当
右)1850年(嘉永3年)創業の「割烹 嶋村」の会席弁当

コロナ禍において「仲間同士で何とかサポートし合おう」。そんな呼びかけの輪は現在、「日本橋の老舗のお弁当」に限らず、近隣の八重洲や京橋、八丁堀などにも広がり、“べんくら”の参加店は増えてきています。しかし、数を増やすことが目的ではありません。「地域の仲間を想う、横のつながり」が重要だと富永さんは考えています。その昔、東京の下町一帯が焼け野原になる大空襲がありました。戦争から帰還した富永さんのお爺さんはその焼け野原から再出発し、「八重洲とよだ」を築き上げたそうです。「地域のみんなで支え合った」体験は親から子、子から孫へと語り継がれ、現在の困難に打ち勝つための結束に繋がっています。

関連リンク
日本橋おべんとう倶楽部 Webサイト: https://www.nihombashi-obento.com/
日本橋おべんとう倶楽部 Facebookページ: https://www.facebook.com/pages/…

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