八重洲・日本橋・京橋に店を構える老舗の旦那に、さまざまな食物の『旬』を教えていただくシリーズ。今回お話を伺ったのは、「京橋千疋屋 京橋本店」の営業部長・河野啓介さん。夏場にかけて食べごろのマンゴーと桃について語っていただきました。
国産・海外産を取り扱うマンゴーは、フィリピン産の「ペリカンマンゴー」を始め、国産マンゴーが出回る夏に旬を迎える果物です。とりわけ宮崎産「太陽のタマゴ」は、濃厚で深みを感じる味わいとトロける舌触り、品質基準が安定的に高いため、人気品種として毎年ご愛顧いただいています。
マンゴーの食べごろは、触ったときの実のやわらかさでわかります。熟れる前は固かった実が、食べごろになると柔らかさが増します。ただし、マンゴーも桃も果肉や表皮がデリケートなため、乱暴に触ることは避けてください。慎重に軽く指先に力を入れるだけで、食べごろであれば少し柔らかさを感じます。マンゴー独特の香りが立っていることもポイントです。こちらも、食べごろサインが出るまでは常温で保管し、食べる前に冷蔵庫で冷やしてからお召し上がりください。
人気メニューの1つであるフルーツサンドウィッチ。「京橋千疋屋フルーツパーラー」の「マンゴーサンドウィッチ」は、まさに食べごろの柔らかいマンゴーと、その濃厚な甘さを活かすため生クリームではなくサワークリームを使用しているのが特徴です。さらにパンの片側にはレモンバターを塗り、アクセントとしてルッコラをはさみ、清涼感を出しています。これまでフルーツサンドウィッチが甘すぎて苦手だった方でも食べやすく、「フルーツサンドウィッチのおいしさを知った」とのお言葉を多く頂戴しています。食欲がなくなりがちな夏場にもおすすめの一品ですね。
6月下旬ごろから本格的な旬を迎える桃は、香りが豊かでジューシーな果肉、やわらかな甘みだけでなく、見た目も愛らしいため、女性を中心に人気が高い果物です。「京橋千疋屋」の長年の経験と信頼で培った仕入先から厳選し、ご購入されてからちょうどよい食べごろでお楽しみいただけるご提供姿勢を貫いています。
「京橋千疋屋 京橋本店」では、やわらかくジューシーな山梨産の「白鳳(はくほう)」、薫り高く上品な味わいが楽しめる岡山産の「清水白桃(しみずはくとう)」の人気が高く、指定ギフトや指名買いをされるお客様が多くいらっしゃいます。すべての果物や品種にいえることですが、バイヤーが産地や市場に出向き、ひとつひとつ自分たちの目で確かめながら“その年の本当に良いもの”を仕入れることは、創業以来、135年を迎えた現在も変わらないポリシーです。
食べごろの見極めは、おしりの部分が薄緑色から黄色に変わったタイミング。桃が熟れたことを知らせるサインです。また、「香りの果物」と称される桃は、芳醇な香りが立ちのぼることも食べごろを知らせるポイント。桃は、熟しが進むよう常温で保管の上、食べる1,2時間前に冷蔵庫で冷やし、お召し上がりいただくのがベストですね。香りや甘みを感じづらくなるので、冷やしすぎは禁物です。
1Fのフルーツパーラーでご提供している大人気メニューが季節限定「桃のパフェ」。旬ならではのみずみずしい桃を存分に楽しめます。さわやかな味わいのシャーベットは、すべて自社工場による手づくりで、桃との絶妙なコントラストが楽しめます。桃そのものの美味しさをひき立たせることを第一にしているこのパフェは、「甘みがやわらかでやさしい」とご好評をいただいている当店自慢のメニューです。
1Fのフルーツパーラーは、予約がすぐに埋まってしまう月曜夜のフルーツバイキングが有名ですが、実は平日朝8時からOPENしており、トーストやサンドウィッチの他、朝カレーなどもご用意しています。お仕事前のパワーチャージにいかがでしょうか。2Fにあるレストラン「Biwawa」はカジュアルフレンチのお店です。こちら夜は予約必須となりますが、上質な素材をふんだんに使ったボリュームたっぷりなプリフィクススタイルで、多くのご利用をいただいております。ぜひ一度足をお運びいただき、「Biwawa」の魅力に触れていただけるとうれしいですね。
「千疋屋総本店」の二代目の娘が、番頭としてふるった男性と結婚し、のれん分けした「京橋千疋屋」を構えてから135年。「銀座千疋屋」も含めそれぞれ別法人ではありますが、のれん分け企業としてはめずらしく親睦も深く、三社で定期的に意見交換したり、被災地支援合同フェアなど行っているんですよ。これからも「千疋屋に行けばおいしい果物が手に入る」とのご信頼を裏切らないよう尽力して参ります。