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八重洲・日本橋・京橋周辺のカルチャーメディア YNKs

〈みるきくしる〉知を深める、こんな場所
Culture Spots

|2016.09.06

リーズナブルに楽しめるスポット

手ごろな料金で、深い知の泉におぼれてみたい。
この街のあちこちにある、リーズナブルに文化に触れられるスポットなどをご紹介します。

「メトロリンク日本橋」 無料バスで八重洲・日本橋・京橋をめぐろう!

 平成16(2004)年に運行を開始した、日本橋の無料巡回バス「メトロリンク日本橋」。このバスは、地元企業、老舗店および地域団体などの協賛により運行されており、乗降場は東京駅八重洲口、地下鉄日本橋駅、地下鉄宝町駅、京橋一丁目など13ヵ所。一周4.1キロを約35分で巡回する。3台のバスが約10分間隔で運行しており、どれもノンステップバスなので、ベビーカーの利用客も使いやすい。またバスの中の1台は発電しながら走行する電気自動車、タービンEVバスが使われる日もある。

 利用者は買物客だけでなくサラリーマンの利用も増えてきた。また最近は日本橋に点在する島根県、奈良県などのアンテナショップ巡りにも便利、という声が多くなった。家族連れ、時間がないとき、荷物が増えたとき、効率よく回りたいとき、無料巡回バスはおおいに役立つ。「メトロリンク日本橋」という名称には、駅と駅を繋ぐという意味合いも含まれているという。東京駅から日本橋駅、宝町駅など、近辺の駅までの移動にも案外便利に使えそうだ。

運行時間: 10時〜20時
メトロリンク日本橋についての問い合わせ: 日の丸自動車興業株式会社 TEL 03-3955-1188

「東京国立近代美術館フィルムセンター」 名作映画をスクリーンで楽しむ

国立近代美術館の映画部門として始まり、内外の映画フィルムと関係資料の収集・保存・復元と調査・研究を目的に、昭和44(1969)年に設立された。映画の上映が行われるホールと展示室、図書館が一般に公開されている。

二つのホールでは監督、俳優、ジャンルなど、テーマに沿った特集プログラムを上映、日本映画だけでなく「旧東ドイツ映画」など、海外作品の特集もある。古い作品のニュープリントは細部まで調整して仕上げ、当時の高いクオリティを再現。DVDでは味わえない、スクリーンならではの美しい映像を堪能できる。

展示室では、映画の歴史から撮影技術などを、実物を多数展示して解説。図書室には映画関係の書籍、国内外の映画雑誌、業界向けの専門誌などが揃う。夏には子ども向け映画の上映と映写室、展示室を見学する「子ども映画館」(予約制)も開催され、好評という。映画ファンだけでなく、幅広い層が楽しめる機関だ。

住所: 中央区京橋3-7-6
TEL: 03-5777-8600(ハローダイヤル 8時〜22時)
営業時間: 11時〜21時(土日祝〜18時30分)
定休日: 月曜
映画: 一般520円、高校・大学生・シニア310円、小・中学生100円
企画展: 一般210円、大学生・シニア70円

「凧の博物館」 世界的にも珍しい、凧のコレクション

洋食の名店「たいめいけん」の五階にある博物館。凧上げが好きだった初代、茂出木心護氏のコレクションから始まり、寄贈などで増えていった凧が常時300〜400点ほど展示されている。

凧はアフリカを除く世界中で作られており、ここにも世界中から凧ファンが訪れるという。凧絵師、故橋本禎造氏の描いた見事な江戸凧や、「のらくろ」の絵が描かれた昭和初期の凧、細工の難しいせみ凧、世界中で作られているあんどん型(ボックス型)、トンボや蝶そっくりのミニチュア凧など、なかなか見ることのできない貴重な凧が揃う。館内の一角に再現されている橋本氏の仕事部屋の様子も興味深い。

また本格的な江戸凧、ステッカーなどのグッズも販売。凧づくりのための材料や道具も扱っている。子どもから大人まで楽しめ、見応え十分だ。

ちなみに現在も、たいめいけんでは正月のおせち料理には大入りの文字に、干支の絵がついた干支凧をつけているそうだ。

住所: 中央区日本橋1-12-10 たいめいけん5F
TEL: 03-3275-2704
営業時間: 11時〜17時
定休日: 日曜・祝日
料金: 大人200円、小・中学生100円

「LIXILギャラリー」 気軽にアートを楽しめる空間

LIXILギャラリーは、昭和56(1981)年オープン。施設内3ヵ所のギャラリーで企画展を行い、ブックギャラリーも備える。

各ギャラリーはLIXILのコンセプトである「暮らしを豊かにする」をふまえ、それぞれが違うテーマで企画運営、大阪と東京の会場を巡回する。ギャラリー1のテーマは「建築とデザイン、その周辺」で、生活文化全般に関する展示を行う。ギャラリー2は「建築と美術」をテーマに、隅研吾、伊東豊雄ら建築家が監修を務める。「陶芸」をテーマにしたギャラリー3は、作家が個展を行っている。一つの展示期間は3ヵ月。

一階のブックギャラリーは建築、インテリア、デザイン、生活文化の書籍を扱う、セレクトブックショップ。細長い店内にはおよそ1万2千冊の書籍が置かれ、3人のスタッフが一冊一冊選んでいるため、専門書など一般書店では扱っていない本も取り揃えている。思わぬ本との出会いがありそうな、魅力的な品揃えだ。LIXIL出版のフラッグショップとして、これまでのLIXILギャラリーのカタログも揃えている。

店内では、ギャラリーの展示と連動したフェアやオリジナル企画のミニフェア、トークショーも定期的に行い、ディスプレイも随時、少しずつ変えているという。二階には小さな休憩スペースと飲料水の自動販売機があり、アートを堪能したらちょっとひと休みできるのも嬉しい。

住所: 中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA1-2F
TEL: 03-5250-6530
営業時間: 10時〜18時
定休日: 水曜

「中央区まちかど展示館」 まちの歴史を物語る、貴重な資料を展示

◇三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー
◇江戸ほうき展示館
◇聚玉文庫ギャラリー

 中央区では、文化資源を発掘し、広く多くの人に知ってもらうために、区内のあちこちに「中央区まちかど展示館」を開設している。

 日本橋の三菱倉庫株式会社にある「三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー」は、同社の歴史と明治創業以来のまちの歴史を、模型などを使って展示している。外観の優雅な曲線とレトロな雰囲気が目を引く三菱倉庫の前身は、三代目歌川広重の「古今東京名所」の中で描かれた「江戸橋三菱の荷蔵」。昭和5(1930)年には鉄筋の近代的な倉庫となり、個人の荷物を預かる「トランクルーム」を初めて設けた場所でもある。平成26(2014)年に外見の七割を保存しながらリニューアルした。

 天保元(1830)年創業の江戸箒の老舗、「白木屋傳兵衛」内にある「江戸ほうき展示館」では、イネ科のホウキモロコシで作られた「江戸箒」や、実物の三分の一の大きさで作った型見本、柄の部分が傘のように曲がっている掛け箒など、他ではなかなか見ることのできない珍しい箒が展示されている。

 創業文化3(1806)年、和紙の老舗「榛原」の貴重なコレクションを公開しているのが、「聚玉文庫ギャラリー」。多くの画家や図案家と交流のあった三代当主榛原直次郎(1846〜1910)から始まったコレクションをもとに、貴重な画稿や版画、美術工芸品、書籍などを展示している。

三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー
住所: 中央区日本橋1-19-1、TEL: 03-3278-6611、営業時間: 平日 7時30分〜19時30分、土曜 7時30分〜13時30分、定休日: 日曜

江戸ほうき展示館
住所: 中央区京橋3-9-8、TEL: 03-3563-1771、営業時間: 10時〜19時、定休日: 日曜・祝日

聚玉文庫ギャラリー
住所: 中央区日本橋2-7-1、TEL: 03-3272-3801、営業時間: 平日 10時〜18時30分、土曜 10時〜17時30分、定休日: 祝日

TEXT: 野村麻里、ILLUSTRATIONS:サイトウトモミ
東京人2016年7月増刊より転載
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