2017年4月、「ポリスミュージアム」の愛称を冠してリニューアルオープンした「警察博物館」をご存じですか。警察の歴史や仕事内容を学べる国内唯一の警察博物館で、リニューアルを機に本物の警察官さながらの体験コーナーが充実。今回は、「大人も子どもも楽しめる!」との評判を裏取りすべく、現場レポートします。
桜の大門をくぐり抜け、いざ館内へ!
警察の仕事といえば、交番や駐在所が拠点の「地域課」、パトカーや白バイでお馴染みの「交通課」、ニュースやドラマで目にする捜査や鑑識などの「刑事課」…、それから他に何があったかなと思いながら、東京メトロ銀座線の京橋駅から徒歩数分。日曜の銀座ならば、歩行者天国の中央通りを京橋・日本橋方面に向かってまっすぐ来たところ。かつて流れていた京橋川にかかっていた京橋のたもとに「ポリスミュージアム」はあります。桜の大門のファサードが遠目からも目をひきます。
入場無料のポリスミュージアム。1階の「ピーポくんホール」では、1918(大正7)年頃に活躍した「赤バイ」や、1959(昭和34)年に警視庁に初めて配備されたヘリコプター「はるかぜ1号」などの乗り物が出迎えてくれます。
ここで外せないのが、子どもたちが制服を着て記念撮影できる「おまわりさん なりきり体験」。「はるかぜ」の操縦桿を握って、すっかり操縦士気分のわが子にひとしきりデレデレしましょう(笑)。
警視庁、創設からの事件史
見学順路は上階からがおすすめ。警察の歴史をたどる展示を見てから階下の体験コーナーへ進む方が、理解が断然深まります。
常設展示の最上階(5階)は、「時代とともに 〜警察の歩み」と題されたフロア。小さなお子さんには少し難しいかもしれませんが、ここにしかない貴重な資料の数々から、「日本警察の父」といわれる川路利良大警視(現:警視総監)に始まる、警察の伝統と歴史が感じられます。
中でも印象に残ったのは、昭和の事件史コーナー。かの「あさま山荘事件」で機動隊員が実際に使った大盾には、今も生々しい銃弾跡が見られます。また、同フロアの奥には殉職警察官の遺影とともに「鎮魂のことば」があり、危険と隣り合わせの警察官という職業にあらためて頭が下がる思いでした。
警察官の役目を知ろう
続いては4階へ。階段の壁面には、多岐にわたる警察の活動がイラストで描かれています。
「首都をまもる 〜警視庁の今とこれから」がテーマの4階では、警察の各部門を紹介したブースを見ながら進んでいくと、様々な現場で働く警察官の制服が一堂に会する巨大な展示ケースが現れます。可愛らしいピンクの制服は、警視庁音楽隊カラーガード、通称”MEC”(メック)のもの。MECの皆さんは、先日開催された「第46回 日本橋・京橋まつり ~大江戸活粋パレード~」で地元・官公署団体の一代表として参加していました。
左)制服がずらりと並び、警察には様々な専門職があることがわかります
右)「第46回 日本橋・京橋まつり ~大江戸活粋パレード~」で披露されたカラーガードの演舞(イベントレポートはこちら)
また、このフロアには「ミニシアター」があり、現役の警察官も出演する、3つのショートムービーが上映されています。私が鑑賞したのは、『110番その先で』。警察が通報を受けてから犯人逮捕までのドラマで、封鎖されたレインボーブリッジを舞台に繰り広げられるカーチェイスは見応え十分。犯人が取り押さえられるシーンでは、テレビの刑事ドラマでは再現しきれない、警察官の機敏な動きに惚れ惚れしました。
捜査難航! 大人も苦戦するリアル体験ゲーム
お待ちかねの体験コーナーで構成された3階は、題して「事件・事故を解決する力」。
犯罪捜査を模した体験ゲームは全部で7種類。子どもだけでなく大人も楽しめるようにレベル設定がしてあり、上級編は本物の刑事レベル!
例えば、逃走車両を覚えるゲーム「ナンバーを覚えろ」。ナンバーと車体の色くらいは覚えられるのですが、地域名、識別のひらがなも加わると、グンと難易度が上がります。なにこれ、難しすぎ…。訓練を受けた刑事ならば、上級レベルを当然クリアしなければならないそう。刑事への道はかくも厳しいのですね。
写真を元に指名手配犯を見つけるゲーム「指名手配犯を探せ」にもチャレンジ。いわゆる見当たり捜査ですが、ベテラン刑事ともなると500人もの顔を記憶して、日々街に出ては犯人の行方を追っているとのこと。その点、ゲームではたった一人の犯人の顔を覚えるだけ、と高をくくっていた私ですが、交差点の向こうからやってくる集団の中に「変装した犯人が必ずいる!」と焦れば焦るほど見つけられず…。正解できたのは3問中1問でした(汗)。
3階にはこれらのゲーム以外にも、交番勤務の新米巡査の目を通して交番の一日を疑似体験できる「警視庁京橋警察署」や、モニターに映った自分の姿に警察官の制服を重ねて、様々な着せ替えを楽しむ「いつのまにか警察官」といったコーナーもあります。
市民の務めと防犯意識
今回の見学のラストを飾る2階のテーマは「人と街をともにまもる」。市民の務めである捜査協力や、家庭における防犯について、皆さんはどれくらいの知識がありますか?
訓練を受けた捜査官たちのスキルの高さは、3階の体験コーナーでうかがい知ることができました。このフロアでは、市民の協力があってこそ未然に防ぐことができる事件・事故があることがよく分かります。
例えば、「家庭の防犯診断」という泥棒に狙われやすい場所を見つける診断ゲーム。「ためられている新聞」や「合鍵が置いてある植木鉢」、「1つしかついていないドアの鍵」などから防犯対策が必要な場所を選びます。ゲームの診断はぜひポリスミュージアムで体験してみてください。 また、交通安全も、市民一人ひとりの心がけによって実現するもの。子どもたちに人気の「自転車運転シミュレーター」では、一瞬の気の緩みが最悪な事態を招くことを身をもって体験することができます。こうした身近な安全情報を提供する活動も立派な警察活動なんですね。
世界随一の治安を誇る日本の警察。知っているようで知らないその活動を紹介するポリスミュージアムは、事前に聞き込みした評判の通り、一度は訪れたいスポットでした。見学のスタートから気づけば1時間半が経過。記念に購入したピーポくんキーホルダーを身につけて、警察への感謝と市民としての協力を日々忘れないようにしよう、子どもたちと一緒に心に誓いました。