木村英之さんは、小学館集英社プロダクションの社員として運営委託を受けている、「中央区環境情報センター」のセンター長を務める。京橋勤務歴は2年である。
「『京橋都鳥』はよく来ます。ここの唐揚げは、結構インパクトがあるんです。他にも赴任したての頃に、有名店なので一度は行きたいと思って行ったのが『京橋伊勢廣』。行列に並んで焼鳥丼を食べてSNSにアップしたら、近くにいい店があるよって知り合いが教えてくれたのが『栄一』でした。ここは量もあるし、コストパフォーマンスもいい」
創業は、「京橋伊勢廣」が大正10(1921)年、「栄一」が昭和23(1948)年、「京橋都鳥」が昭和26(1951)年。老舗の焼き鳥屋三軒が、京橋一丁目の路地伝いに並んでいる。「元々高校の教師をしていて、ラグビー部顧問を務めていました」と話すように、がっしりとした体格。昼食も、ボリューム満点で美味な“がっつりめし”が多いようだ。
京橋エリアには、行列必至の有名店や、予約の取りにくい名店も多い。
「『京ばし松輪』は、いつも開店前から裏の郵便局のほうまで並んでいますね。それから『レストランサカキ』。ここも昼時はいつも行列ができています」
中央区環境情報センターは、環境にまつわる情報発信に加え、区の環境系NPOなどの活動拠点になることを目的に、平成25(2013)年に開設された。施設内には研修室を備え、地元町会が会合に利用したり、周辺企業が会議室として利用するケースも多い。またセンターが主体となって、周辺企業のCSRに携わる社員を集めた勉強会や、各社社員と子どもが参加できる「親子ハロウィン」と題したゴミ拾いなど、イベントも多数開催している。
「まちには知り合いが多いので、ランチの行列に並んでいると、からかわれることも多くて」と、恥ずかしそうに笑う。地元に愛されている様子が、伝わってくる。
異業種の仲間と連れ立ってランチに行くこともある。「てんぷら深町」がそれ。
「かき揚げ丼を食べたんですが、美味しかったですね。ただ昼は、コースのお客さんでいっぱいで、単品で天丼を頼むのは少々気が引けますが」(笑)
マスコミには出ない店だが、京橋三丁目首都高脇の路地にある「松若」も行きつけだ。
「とんかつ屋なんですけど、ハンバーグフライ、コロッケ、チキンカツ、とんかつの中から好きなものを組み合わせて定食にできる。僕はもっぱら、チキンカツとハンバーグフライです」。
鶏問屋直営の「とり安」でも、お目当ては揚げ物。「ここの限定ランチのかさね重が、安くてボリューム満点でおすすめです。限定だから、早めに行けたら必ずこれを注文します」。
さて、木村さんの今後の展望を尋ねてみると、「近くに区立城東小学校もありますし、地域の子どもたちと一緒に、各地にキャンプに出掛けたい」。 環境という言葉が抽象的ではなく、ここのセンターを軸に、木村さんが夢見る企画は多彩で、どれもみな楽しそうだ。
創業昭和26年。先代が昭和43年、皇居新宮殿落成披露式典の料理を担ったこともある。お昼の人気は限定30食の唐揚ライス。揚げ物なのに重くないのは、ごま油をブレンドした揚げ油と鶏肉のさばき方に秘訣が。お昼だからニンニクは不使用。
住所: 中央区京橋1-4-10
TEL: 03-3245-1378
営業時間: 11時30分〜売り切れるまで、17時〜22時
定休日: 土曜・日曜・祝日
そのままだととても硬くて食べられない軍鶏を、焼いて一番旨い状態の4分の1に交配させた軍鶏系鶏肉を使用。夜は焼き鳥10串コース(4500円)などが人気。お昼は焼き鳥どんぶり(1150円)と親子どんぶり(900円)の2種類。「ここは親子丼もうまいんですよ」(木村氏談)
住所: 中央区京橋1-5-1
TEL: 03-3281-6578
営業時間: 11時15分〜13時30分、17時30分〜21時30分
定休日: 土曜・日曜・祝日
京橋が東京市京橋区桶町という職人町だった時代に、鶏肉店として開店した。毎朝丸鶏から捌く新鮮な鶏肉、千住葱、椎茸にいたるまで選び抜かれた最高の材料を姥目樫(うばめがし)の備長炭で焼き上げる。焼き鳥フルコース(12品、6480円)、昼は焼き鳥丼などが人気。
住所: 中央区京橋1-5-4
TEL: 03-3281-5864
営業時間: 11時30分〜14時、16時30分〜21時(土〜20時30分)
定休日: 日曜・祝日
京橋のこの地で甘味屋から始まった。その後洋食屋となり、フレンチの名店四谷「北島亭」出身の4代目のいまは、夜はフレンチを出す。フレンチシェフが手がける洋食は垂涎ものである。開店前からお客の列ができ、人気のポークジンジャーは12時前に完売。
住所: 中央区京橋2-12-12
TEL: 03-3561-9676
営業時間: 11時30分〜13時45分LO、18時〜20時30分LO
定休日: 日曜・祝日
三浦半島松輪港直送の魚を出す和食屋の人気「京ばし松輪のアジフライ定食」。生魚を開いてから10時間寝かせることで青魚特有の臭いを消し、余分な水分を抜いたアジを高温で揚げる。身がふくらみ柔らかいアジフライの出来上がり。夜はコースの中で出される。
住所: 中央区京橋3-6-1 秋葉ビルB1
TEL: 03-5524-1280
営業時間: 11時半〜売り切れるまで、17時〜21時LO
定休日: 日曜・祝日
大阪の老舗料亭「耳卯楼」が、大正14年麺類専門店「美々卯」に。昭和48年に仕舞屋が並んだ京橋に美々卯のビルができた当時は劇場かと思われたそう。宗田節の深みある出汁と具材の旨みが合わさり、極上のうどんすきとなる。
住所: 中央区京橋3-6-4
TEL: 03-3567-6571
営業時間: 11時30分〜20時30分LO(日祝〜20時LO)
定休日: 無休
言わずと知れた井上旭オーナーシェフの名店。ランチコース(5840円)の前菜に出されるサラダ・ド・フリュイドメール(魚介のサラダ)は、軽く火を通した手長海老や白身魚などをラビゴットソースでいただく定番の味。クラシカルで誠実な味は長く愛される名店ゆえだろう。
住所: 中央区京橋2-4-16 明治京橋ビル1F
TEL: 03-3274-2020
営業時間: 11時30分〜14時LO、18時〜21時LO
定休日: 日曜
30数年勤めた山の上ホテルを退職した深町正男さんが自身の店を持ったのは、骨董に魅せられ通い詰めた京橋。職人の技でからりと揚げる江戸前の天ぷらにファンは多い。生ウニは山の上時代からの味。北海道産ウニをたっぷりと大葉に包んでレアに揚げる。絶品である。
住所: 中央区京橋2-5-2 A.M京橋ビル
TEL: 03-5250-8777
営業時間: 11時30分〜13時30分LO(土日祝12時〜13時40分LO)、17時〜20時30分LO
定休日: 月曜・第1、3日曜
数多くの都内有名店に卸している日本橋茅場町の老舗鳥問屋マルティ鳥安商店直営。プロが吟味した美味しい鳥安ブランドのブロイラーを扱うから、焼き鳥も鳥料理も手頃な価格がうれしい。お昼は、毎日100食以上出るきじ焼重(800円)や、限定30食で12時前には売り切れるかさね重(800円)など人気。
住所: 中央区京橋2-6-14 日立第六ビル1F
TEL: 03-3561-2340
営業時間: 11時30分〜14時、17時〜22時30分
定休日: 土曜・日曜・祝日
「卵やベーコンを使ったカルボナーラはアメリカ経由で日本に入ってきたもの。本場では卵は使わず、ベーコンではなくパンチェッタ」とオーナーシェフの橋本直樹さん。本場がそうだからと、日本では高価な羊のチーズをたっぷり使う。
住所: 中央区京橋3-3-11
TEL: 03-6425-7208
営業時間: 11時30分〜14時30分(コース13時30分LO、ビジネスランチ14時LO)、18時〜21時LO
定休日: 無休
TEXT:織田桂、 PHOTOGRAPH:門馬央典
東京人2016年7月増刊より転載