第4回目のテーマは、竺仙と言えばの「江戸小紋」。その特徴と着こなしの指南、また竺仙デザインの粋な手ぬぐいについて、五代目小川文男社長に話を聞いた。
暦も9月になると、着物は
「いまの方は、単衣に仕立てるとその着物は単衣のまま、袷なら袷のままお使いになりますが、昔は、季節によって仕立て替えをしたものでした。単衣でまず作ったものを、次に袷に仕立て替えをし、寒くなると綿入れをし、春になると綿ぬきをするというように。他にも、
小川社長は、それを、着物が手の内に入っていた時代の着物の使い方だと振り返る。いまの時代に、よそ行きのブラウスを着古したら普段着にするような感覚で、着物が日常着だった時代は、一枚の着物を着まわしたと言う。着物が高価になったいまの時代は、出来上がりの姿のまま着回すのが普通になったが、そうなると悩むのが、10月の気温の高い日でもやはり、しきたり通り、袷を着なければいけないのかということ。
「6月、9月が単衣というのは、知識として知っていればいいわけです。地球も変わってきているのですから、自分の体感に合わせて選べばいいと思います。10月に暑ければ単衣でもいいし、暖かみのある木綿の浴衣でもいい。それをおかしいんじゃないかと注意する方もいまでは少なくなってきていますね」
では、江戸小紋を紹介しよう。伝統の模様から、型を彫る職人と染屋さんが新たに生み出した模様まで、さまざまな美しい模様に目を奪われるが、そもそも江戸小紋にも季節の柄があるのだろうか。
「例えば桜の花のような季節感のあるモチーフもありますが、桜なら春先にしか着られないのかというとそうではなく、一年中大丈夫です、と申し上げるようにしています。ですから、江戸小紋は季節はお考えにならないほうがいい。季節感やご自分の趣味は、着物ではなく帯で出していただくほうがいいですね。季節に合った染帯を街で見かけるとすごくいいですね」
そう言って、出していただいたのが、南天の素描の染帯。南天の朱色とコーディネートして、同系である
そして、今回は手ぬぐいや風呂敷、お膳掛けについても紹介しよう。竺仙では、それらも毎年新作がお目見えする。反物を長方形の型に折りたたみ、一気に染料を注いで染める
手ぬぐいは便利な代物だ。水分をしっかり吸収し、速乾性が高い。日常生活のあらゆるシーンで活躍する。他にも、いまではあまり見なくなったお膳掛けなどもぜひ手にとってみてほしい。
(文・織田桂 写真・泉大悟)