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〈はたらく〉 イノベーションの舞台
FRONT of TOKYO

|2021.12.13

古き新しき文化と街の人との交流で、子どもたちを豊かに育む『EDO日本橋保育園』

さまざまな老舗商店や飲食店が立ち並ぶ日本橋三丁目。日本橋駅からも徒歩5分ほどというこの土地に、2020年4月に開園したのが「EDO日本橋保育園」だ。「江戸時代から日本橋で育まれた“粋”を未来につなぐ保育園」というキャッチコピーが示すように、土地の利を最大限に生かし、地域の人たちの思い、文化を子どもたちに受け継いでいくーー。主任保育士である仁和美沙紀先生が話すのは、古きと新しきが融合した、豊かな保育の形だった。


食育や自然との関わり、運動会も全力で! 楽しみながら学ぶ

EDO日本橋保育園は、社会福祉法人東京児童協会が運営している。保育に携わって90年以上の歴史があり、現在都内にある認可保育園・認定こども園は21に上る。法人が掲げるのが“大きなおうち”というコンセプトと、4つの保育方針だ。

「子どもも大人もみんなが互いに支えて育つ、家庭的な保育園を目指しています。“大きなおうち”の4本柱が『生きる力を育む』『夢を育む』『思いやりを育む』『学びに向かう力を育む』というもの。これらをベースに保育活動の内容を決めていて、例えば、異年齢保育はとても大切にしています。3歳児、4歳児、5歳児が、別々の教室ではなく、棚で仕切られた同じスペースで一緒に生活することで、年上の子が年下の子に遊び方を教えたり、年下の子は上の子に憧れを持って遊びに挑戦したりと、自然に思いやりや学ぶ心が育つんですね。他にも、跳び箱や縄跳びを行う体育指導、造形活動、また、他国の講師を招いた異文化交流も。英語を学ぶのではなく、目の色、肌の色が違う人とも偏見を持たずに交流するのが目的で、イタリア、マレーシアなどさまざまな国の講師が来てくれています」

グリンピースの皮むきをお手伝い中の子どもたち。とても楽しんでもくもくと実を取り出していました
(写真提供:EDO日本橋保育園)

中でも、特に力を入れている活動が“食育”と“自然との関わり”だという。

「『食べる食』『触れる食』『植える食』という3つの食を実践しています。『触れる食』は、子どもたち自身が給食で食べるしめじをさいたり、さつまいもをスポンジで洗ったり、グリーンピースの皮をむいたり。『植える食』では、園内に小さな畑を作っていて、今年はきゅうり、ナス、オクラ、ピーマン、ゴーヤなどを収穫しました。毎月、園でのテーマ野菜を決めていて、キャベツなら芽キャベツ、紫キャベツなどたくさん種類があることを栄養士が子どもたちに話すなど、1歳、2歳の小さな子どもでも興味を持つように工夫しています。
畑だけではなく、園舎を取り囲むように木々が植えてあるのもEDO日本橋保育園のいいところ。四季折々のお花が咲き、どんぐりやブルーベリーの実がなる。春夏秋冬で景色が移り変わっていき、今は2階のバルコニーで紅葉が色づいています。都心の保育園でも、子どもたちには自然と存分に触れ合ってほしいですね」

日常の保育はもちろん、行事、イベントにも力を入れて“楽しみながら学ぶ”ことで子どもたちの心を育てる。

「開園してすぐの昨年は、コロナ禍でほとんどの行事ができなかったのですが、今年度は感染対策をしながらできる範囲で行っています。東京オリンピック、パラリンピックがあったので運動会を『EDOリンピック』と名付け、聖火台に布などで作った火をつける演出も。子どもたちはオリンピックに興味津々になり、普段の保育でも地球儀や世界地図を見たり、国旗のぬり絵で遊んだり、自然に学んでいましたね。
園庭で行った夏祭りでは、準備中の保育士の様子をフォトコンテストに応募したら、なんと入賞したんです。保育士が浴衣を着て、元気に準備している様子が評価されて。身近な大人である保育士も全力で楽しむことで、子どもたちに伝わるものがあるのではないかなと思っています」

左)手づくりの世界にひとつだけのトーチを高々と掲げ、いざ聖火点灯
右)浴衣に縁日など、子どもも大人も大いに盛り上がった夏祭りの一枚
(写真提供:EDO日本橋保育園)

町会の人々やワーカー、地元のお母さん。多種多様な交流は日本橋ならでは

江戸幕府の繁栄とともに発展し、今なお大手企業の本社が数多くひしめく日本橋。園内にはそんな街のDNAを感じられる仕掛けがある、と仁和先生。

「せっかく日本橋にある保育園なので少しでも歴史を知ってもらおうと、広重の東海道五十三次や葛飾北斎の浮世絵を飾ったり、江戸の地図である江戸切絵図を貼っています。江戸切絵図の中に、この保育園の場所がわかるように印をすることで、昔からある街なんだと認識してもらえるかなと思っています。
その一方で、新しい技術として、玄関の部分にプロジェクションマッピングを取り入れています。春夏秋冬で4パターンの映像が楽しめて、春は桜、夏は水草やかえる、秋は落ち葉、冬は雪と、ここでも自然を楽しむ工夫が。子どもの動きに合わせて光と音の反応があるので、1歳、2歳の小さな子どもは大好きでよく遊んでいます。雨の日でお外で遊べないときにもとても助かっていますね」

また、散歩で一歩外へ出ると、この土地ならではの光景が広がり、子どもたちの感性を刺激する。

「高層ビル街にはスーツを着たオフィスワーカーの皆さんがいて、子どもたちがいると気づいて手を振ってくれることも。髙島屋が近いので屋上のバラ園まで行ったり、日本橋三丁目交差点の麒麟の銅像を見に行くこともあります。この時期、大きなクリスマスツリーやきれいなイルミネーションが見られるのも、都心ならではですよね。
老舗の商店街に向かうと、お店の方、地域のご年配の人たちが喜んで声をかけてくれます。子どもたちも嬉しそうに元気に挨拶していますね。日本橋消防署に行けば消防士さんがはしご車で訓練している様子が見学できて、今年の9月にリニューアルオープンしたばかりの日本橋兜町の坂本町公園ではまだ保育園や幼稚園に入る前の赤ちゃんとお母さんがいて園児が一緒に遊ぶこともあります。近所へのお散歩でここまで多種多様な人たちとの関わりが持てるのは、日本橋だからこその魅力だと思います」

左)真っ赤な色といい、高いところにどんどん伸びていくはしご車が子どもたちは大好き
右)お散歩がてら日本橋髙島屋のウインドーショッピング!?
(写真提供:EDO日本橋保育園)

より地域に根ざした保育園に。“山王祭”にはぜひ参加したい!

コロナ禍で制限されていた活動の幅が少しずつ広がり、地元の人たちとの交流はさらに深まっているそう。

小さな鬼さんたちの訪問に顔がほころぶ様子が目に浮かびますね(写真提供:EDO日本橋保育園)

「日本橋の町会の皆さんには開園時や折に触れてご挨拶はしているのですが、9月に坂本町公園がオープンした際、町会長さんから公園で使えるござを贈っていただきました。お礼に子どもたちが園庭や散歩の際に拾ったどんぐりでトトロを作って『ありがとう』の思いを込めてお届けしました。節分の際には、鬼のお面をかぶって保育園で手作りした“福豆”を老舗のお蕎麦屋さんなどにお届けしたことも。
また、地域のお母さんに向けた『子育て講座』も今年度からスタートしました。ベビーマッサージや看護師がレクチャーするホームケア、離乳食講座などがあり、現在はオンラインで行っています。いずれは、園に来てもらって対面での講座を充実させたい。園庭も開放したりと、園に通っていないお母さん、赤ちゃんたちが自由に出入りできるようなオープンな保育園を理想としています」

今後はより、地域に根ざした保育園へ。地元の活動にも積極的に参加することで、日本橋で大切にされてきた文化、人々の思いを子どもたちは自然と受け取るはずだと、仁和先生は話す。

「赤坂の日枝神社の『山王祭』がここ日本橋で行われるので、参加したいです。昨年のお祭りはコロナ禍ですべて中止になってしまいとても残念で…。町会の皆さんにも次回はぜひと言っていただいていますので、とても楽しみにしています。江戸三大祭のひとつで、日本三大祭にも数えられる山王祭に参加することは、園児たちの成長にもつながるはず。これからも地域密着型で、子どもたちにはこの土地だからこそできる、貴重な経験をたくさんさせてあげたいと思っています」

関連サイト
EDO日本橋保育園: https://tokyojidokyokai.com/contents/Facility/edo/

執筆:野々山幸(TAPE)、撮影:島村緑

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