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〈さんかする〉イベントレポート
Event report

|2023.04.24

コロナ対策のアクリル板を最新の工作機械でアップサイクル 思い出に残るものづくり体験に密着

年度が変わり新たなスタートを切った4月の第3日曜。訪れたのは、京橋にあるものづくりに関わる企業や人の交流拠点「TOKYO IDEA EXCHANGE」。この辺りは江戸時代、職人が暮らす街として栄え、そんなものづくりのDNAを持つ京橋に2020年にオープンした施設です。直訳すると「東京アイデア交換所」の施設名のとおり、オープン当初より、人が集まるワークショップやイベントの企画運営を想定していたものの、コロナ禍でなかなか実施できなかったそう。

そうしたなか、満を持して開催された、「使わなくなった飛沫感染防止アクリル板で、コロナ禍の思い出写真立てを作ろう!」。新型コロナウイルスの飛沫による感染を防止するため、多くの施設や店舗において広く浸透したパーテーションですが、アフターコロナで大量に廃棄されることが予想されています。それらをごみにしないアイデアのひとつとして、今回のワークショップは企画されました。

人と人を隔てるためのものであったアクリルパーテーションを使って、思い出に残るものづくり体験と、思い出を飾る写真立てを手に入れるワークショップ。お父さんに手を引かれて、少し緊張した面持ちでやってきた男の子が体験したワークショップの模様をレポートします。

Tokyo Idea Exchange外観。中央区京橋3丁目6-10 xBridge-Tokyo Next 1階

ワークショップの講師は、ものづくりとアートのふたりのスペシャリスト。前者はTokyo Idea Exchangeコミュニティ主催者で、東京メイカー代表取締役社長の毛利宣裕さん。3次元業界に入って約30年という業界の先駆者が、今回のワークショップでは、長年使い慣れた「レーザーカッター」と「UVプリンター」を操作し、参加者のものづくりをサポートします。

後者は、アートと創造性の研究所「mugwump」代表で、大正大学客員准教授も務める山口典子さん。自らもアーティスト活動を行う山口さんは、その場で撮影した参加者の写真や参加者が持ち込んだ写真をベースに、写真立てをデザインしていきます。捨てられる予定だったものでも、自由な発想でアートとかけ合わせればこんなに楽しいツールになる! そう心の底から感じるのに、遊び心を持つアーティストとの共同作業は絶好の機会といえそうですね。

左)ポージングのイメージがおおよそ決まったら撮影へ
右)写真を取り込み、素材のサイズや位置を調整

その場の撮影を選択した参加者が最初に行うのはカメラの前でのポージング。最初は恥ずかしがっていた男の子も、山口さんが楽しそうにいくつもやって見せる“決めポーズ”に感化されて、とても上手にポージングできていました。

山口さんはすぐさま、撮影したデータをPCに取り込み、デザインデータを作成していくのですが、今回つくる写真立てが2枚のアクリル板に写真をはさむ仕様ということで、複数の印面を重ねてはじめて一枚の絵柄が完成する版画のように、写真をパーツ分けし、2枚のアクリル板に振り分けます。また、あえて写真の輪郭通りのアウトラインにせず、透明の縁取りを残しており、このふたつの工夫が最終的に、立体感のある仕上がりに活きていきます。

写真立ての仕上がりイメージを、男の子と一緒に確認

ここから、山口さんから毛利さんへバトンタッチ。レーザーカッターでアクリル板をカットして切り出したら、いよいよ印刷です。UVプリンターは、印刷の位置合わせがかなり難しい機械だそうですが、毛利さんにとってはお手のもの。そしてプリントが終わって手に取る瞬間——。

言ってみればデザインデータ通り、頭でイメージできていたはずなのに、やっぱり感動があります。何もないところから、形あるものを生み出す楽しさはものづくりの醍醐味ではないでしょうか。最後の仕上げは、男の子の手で。2枚のアクリル板をネジ止めして完成です。

左上)レーザーカッターのあまりの早さと正確さにびっくり
右上)UVプリンターは、カラーインク、白の順で印刷することで鮮明に。ハイテク化が進むものづくりは楽しさに満ちた世界
下)手作業で2枚のアクリル板をネジ止め。写真立てはこのビスにより自立します

最後に、毛利さんと山口さんに今回のワークショップに対する想いを伺いました。

毛利さん「子どもの頃、近所の町工場に遊びに行ったり、覗き見したりした記憶がある人もいると思いますが、最近はそうした機会がめっきり減っています。今回のワークショップが、子どもたちがものづくりへの関心を持つきっかけとなったら嬉しいですね。さらに、今までのように使い捨てではなく、資源を大切にして長く使う大切さを、アップサイクルのものづくりを通じて感じてもらえたら」

山口さん「わたしは大学や今回のようなワークショップで皆さんの前に立つ場面も多いですが、自分なりの答えを導き出す『アート思考』は、年代問わず、仕事・プライベート問わず求められていますね。参加者にとっては、思いがけないクリエイティビティを発揮する機会であり、アーティストにとっても、様々な人との新たな出会いがイマジネーションをかき立てるので、本当にいい経験になっています」

左端が毛利さん、右端が山口さん

TOKYO IDEA EXCHANGEでは今後もワークショップやイベントが企画されているそうなので、下記関連リンクから最新情報をチェックしてみてくださいね。

関連サイト
TOKYO IDEA EXCHANGE: https://idea-exchange.tokyo
東京メイカー facebook: https://www.facebook.com/search/top/?q=東京メイカー

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