毎年秋の日本橋、京橋エリアで開催されてきた「日本橋・京橋まつり」。この恒例行事がコロナ禍による中止期間を経て、今年4年ぶりに復活。秋晴れのもと、10月29日に第50回の記念大会が開催されました。
第50回を迎える恒例の日本橋・京橋まつりが4年ぶりに復活
江戸時代、五街道(東海道・甲州街道・奥州街道・日光街道・中山道)の起点として定められ、日本の中心だった日本橋。そんな日本橋で昭和47年(1972)に、街路灯など国道の完成記念として行われたのが、鼓笛隊、ぬいぐるみ、大名行列などのパレードです。これが好評だったためその翌年に第1回日本橋・京橋まつりが行われ、それ以降毎年10月に中央区観光商業まつりの協賛事業として実施されてきました。現在では、全国各地の伝統的な祭りや踊りが集まる催しとなり、今年で50回目を迎えました。
記念すべき50周年を祝う「sixinch.ジャパン」のベンチが置かれた東京スクエアガーデン前と、大江戸活粋(かっき)パレードのスタート地点に当たる京橋エドグラン前で、中央区長、地元町会や官公署の代表の方々などによる記念撮影とテープカットがそれぞれ行われ、いよいよ日本橋・京橋まつりがスタート!
最大の見どころは2000人超が練り歩く「大江戸活粋パレード」
日本橋・京橋まつりのメインイベントは、京橋と日本橋を繋ぐ中央通りで行われる「大江戸活粋パレード」。音楽隊、全国の伝統的な踊りを披露する団体など2000人超が参加し、圧巻の大パレードを繰り広げました。
11時20分には、京橋エドグラン前のスタート地点から第一部の「オープニングパレード」がスタート。まつりの横断幕に続いて、官公署団体、中学校の吹奏楽部、交通少年団、消防少年団、大江戸ハンテンパレードなどが登場しました。大江戸ハンテンパレードには、日本橋、京橋エリアの町会や地元企業の人たちが所属する団体のハンテンを着て参加しました。
12時からは、第二部の「諸国往来パレード」がスタート。全国各地の16もの団体が色とりどりの衣装を身にまとい、個性豊かな演舞でパレードしました。
その先頭を務めたのが、江戸消防記念会。江戸消防記念会は、「纒(まとい)」「伴纒(はんてん)」「火消用具」「木遣り・梯子乗りの技術」といった江戸の町火消文化を保存し、後世に伝えていくために活動しています。この日は纏振りを披露しながら練り歩く姿を見ることができました。
その後に続いたのは、全国各地の祭りや踊りの団体のみなさん。そのすばらしい伝統的な演舞に多くの観客がカメラを向け、拍手や声援を送っていました。
この日は、沖縄「エイサー」、仙台(宮城)「すずめ踊り」、山形「花笠踊り」、徳島「阿波おどり」といった伝統的な演舞が披露されたほか、岩手町(岩手)の「南部風流山車」といった祭りの象徴もパレードに登場しました。
そしてパレードの最後を飾ったのは地元中央区民躍連盟。民踊愛好家が集まり昭和32年(1957)に発足した歴史ある団体で、この日本橋・京橋まつりのパレードには欠かせない存在になっています。今回も揃いの浴衣姿で盆踊りを披露しながらのパレード。メインイベントであるこの「大江戸活粋パレード」の最後を華やかに締めくくりました。
車両通行止めとなった中央通りには、パラソルやベンチ等が置かれた憩いの場も
中央通りの日本橋・京橋間を全面通行止めにして実施するイベントは日本橋・京橋まつりと山王祭のみ。この日の中央通りは、パレード以外にもさまざまな企画が。東京スクエアガーデン前には、人工芝が敷かれた「京橋活粋広場」が設置され、ベルギー発のファニチャーブランド 「sixinch.ジャパン」のおしゃれなストリートファニチャーや、椅子を備えたパラソルが出現。地元日本橋の「GOOD COFFEE FARMS」のキッチンカーも登場し、親子連れの憩いの場となっていました。
「GOOD COFFEE FARMS」は、グアテマラを中心に小規模農家と共に、水、電気、燃料を一切使用せずにサステナブルなコーヒーを生産し、産地から直接顧客や消費者に届けている生産者団体。その初の実店舗として日本橋に2022年にオープンしたのが「GOOD COFFEE FARMS Cafe & Bar」です。
キッチンカーで販売されていたのはお店自慢のコーヒーとあんバタートースト。あんバタートーストは、京橋で150年以上愛されてきた老舗和菓子店「京橋・桃六」と、鎌倉の人気ベーカリーカフェ「大磯 ATELIER SANTi」とのコラボメニュー。桃六のどら焼きに使われている粒あんとATELIER SANTiの食パンの組み合わせが、コーヒーとの相性も抜群です。こちらは日本橋の店舗でも販売中。
「地域のイベントにてキッチンカーでコーヒーを販売させていただくのは、この日本橋・京橋まつりが初めてです。実際に参加してみて、本当に楽しいです。こんな規模の大きなイベントなんだと驚きましたし、すごいイベントに出店させてもらっているんだなと感じました。道も封鎖し、多くの地元の団体が協力や参加をしていて、街全体で取り組んでいるなというのを肌で感じることができました」(「GOOD COFFEE FARMS」高見澤さん)
パラソルは、パレードが通り過ぎた京橋エドグラン前にも。こちらにはわらび餅ドリンクが楽しめる「福わらび」のフードトラックが登場しました。
高田馬場にお店を構える「福わらび」は、トロトロ新食感の“飲めるわらび餅ドリンク”を提供しています。素材にこだわり、わらび餅には高級砂糖「和三盆」をふんだんに使用。やわらかい口どけと程よい甘さが特徴で、幅広い世代から人気のお店です。店舗を構える前からキッチンカーでの営業を行っており、各地の祭りにも多く出店しています。
「普段から各地のお祭りやイベントに出店していますが、この日本橋・京橋まつりに出店させていただくのは初。わらび餅もドリンクもすべて手作りのものを提供するのがこだわりです。今回はパレード後のみの短い営業でしたが、また機会があればもっとたくさんの日本橋、京橋エリアの方にわらび餅ドリンクを楽しんでいただきたいと思いました」(「福わらび」干場さん)
そのほか、西河岸地蔵尊通りでは各地の名産品を購入したり、味わったりできる「諸国往来市」を開催。地酒や果物、B級グルメなどが販売され、多くの人で賑わいました。
さらに周辺では、日本橋、京橋エリアの歴史と文化を感じられるさまざまなイベントが同時開催されました。大根河岸公園周辺では「秋の収穫祭」、日本橋プラザ南側広場では「秋のお江戸まつり」、日本橋橋詰では「秋の名橋『日本橋』粋だね市」を開催。フードトラックや屋台が登場したほか、昔ながらの梯子乗りや木遣りなどが披露されました。
今回、第50回記念大会として4年ぶりに開催された日本橋・京橋まつり。全国各地の祭りや踊りがここに集結し、多くの見物客の目を楽しませ、大盛況のうちにその幕を閉じました。
撮影/森カズシゲ
関連サイト: https://nikkyo.net/