八重洲・日本橋・京橋エリアを中心に、この街で働く人々にお気に入りの過ごし方を伺う連載「Front of Style」。
今回は、「PHaT PHOTO写真教室」スタッフの岡野愛子さん、「千葉スペシャル 八重洲店」靴磨き職人の大村賢哉さん、「中華レストラン 三喜屋」店主の友野隆司さんにお話を伺いました。
●今日もカメラを携えて 見慣れた街でとっておきの1枚を
岡野 愛子さん(「PHaT PHOTO写真教室」スタッフ)
「写真の楽しさは、同じ場所、同じテーマで撮影しても、その人の視点が作品に表れるところ。生徒のみなさんの作品を見る瞬間はどきどきします」と笑みを見せるのは、京橋で働く岡野愛子さん。写真家・テラウチマサトさんが代表を務める株式会社シー・エム・エスで、「PHaT PHOTO写真教室」のスタッフを務めています。
教室は若い世代や女性が気軽に写真を学び、楽しめる場として2001年にスタートしました。仕事帰りに通えるため、京橋周辺に勤める会社員の生徒もいるそうです。
岡野さんの担当は、撮影の技術や知識が学べるワークショップや撮影会。撮影会は遠方へ足を運ぶことも。参加者の興味関心や撮影にまつわる悩みをヒントに、講師を務めるフォトグラファーと相談しながら、さまざまなプログラムを企画しています。
仕事柄、フォトグラファーの目線で街を歩くことも多い岡野さん。京橋周辺の見慣れた景色も、カメラを持つとささやかな変化が目に留まるそう。
撮影会の準備では、カメラを持って、撮影にぴったりのスポット探しに。当日の撮影会と同じ時刻に歩き、明るさや人通りなどもチェックします。
「東京スクエアガーデンの周辺は、緑が多いですよね。背景に奥行きのある、きれいな写真が撮れるので、ポートレート(人物を被写体とした写真)向きだと思います」。
日々アクティブに働く岡野さんの元気の源は、大好きなカレーを食べ歩くこと。この日は、テイクアウト専門店「無添加 グルテンフリー 京橋屋カレー」をチョイス。出張を頑張ったあとのご褒美カレーなのだそう。東京スクエアガーデンの植樹スペース「京橋の丘」でいただきます。
休憩中には、最近のお気に入りだというインスタントカメラでカレーをパシャリ。「写真を撮るのは仕事の合間のリフレッシュになりますね。いつもの景色の中に、その時しか撮れないものがあるはずですよ」。
PHaT PHOTO写真教室
住 所:中央区京橋 3-6-6 エクスアートビル1階・4階
WEBサイト:https://www.ppschool.jp
無添加 グルテンフリー 京橋屋カレー
住 所:中央区京橋3-4-3 千成ビル2階
WEBサイト:https://peraichi.com/landing_pages/view/kyobashiyacurry2006
●働く人の背中を押したい 靴磨き職人のランチタイム
大村 賢哉さん(「千葉スペシャル 八重洲店」 靴磨き職人)
ハンチングにベスト、メガネという制服がトレードマークの靴磨き職人集団「千葉スペシャル」。八重洲北口から徒歩3分の八重洲店は、大事な商談の前に靴を磨いていく方から、休憩がてら来る方まで、毎日さまざまな人がやって来ます。
古株のスタッフとして有楽町本店の店長を務める大村賢哉さんは、数年前から八重洲店でも勤務しています。11年前に千葉スペシャル代表・千葉尊さんに出会い、職人の道へ進んだそう。
「有楽町で偶然見かけた千葉の靴磨きは衝撃的にかっこよくて、しばらく後ろから眺めてしまいました。その場で声をかけてもらい、翌日には千葉と並んで靴磨きを始めたんです」。
お昼時間のピークタイムが過ぎたら、休憩タイム。八重洲店で勤務の日に通っているのが、近隣の路地に佇む「ビストロ グリルシャトー」です。
1961年に創業したこちらの店は、古くから街を見守ってきた洋食店。数年前から通っている大村さんは、店主に挨拶していつもの「日替わりランチ」を注文しました。
靴磨き職人になる前は、ヨーロッパでオペラ歌手として舞台に立っていた経験もある大村さん。当時を思い出すような、風情ある店構えに心惹かれて来店し、以来すっかりファンになりました。
「今日のポークは日替わりメニューの中でもお気に入り。とはいえ、全部美味しいんですけどね。ハンバーグも好きなんだけど、人気だからこの時間には売り切れなんです」と笑う大村さん。
「みんな仕事でいろいろあるから、心が落ち着く瞬間って大事ですよね。僕の靴磨きも、八重洲で働く人にとって心が晴れるひと時であってほしい。完璧に磨けたと思える日はいまだにありませんが、これからも日々頑張ります」。
千葉スペシャル 八重洲店
住 所:中央区八重洲1-6-14 ISO八重洲1階
ビストロ グリルシャトー
住 所:中央区八重洲1-6-14 ISO八重洲1階
WEBサイト:https://chateau.owst.jp
●今夜は「町中華」に集合 笑顔でみんなを出迎えて
友野 隆司さん(「中華レストラン 三喜屋」 店主)
鍛冶橋通りと東仲通りの角にある「中華レストラン 三喜屋」は、地元の人や近隣の会社員に愛される「町中華」。昼はレストラン、夜は居酒屋として営業します。
このエリアで育った店主の友野隆司さん。今日も笑顔で店に立ち、お客さんを出迎えています。
友野さんは、もともとは異業種で働いていましたが、実家を継ぎ料理人の道へ。チャーハンや、ニラたっぷりの麺料理「ニラそば」のほか、夜はギョーザや四川麻婆が人気メニューです。この日もたくさんのお客さんで賑わっていました。
そんな友野さん、京橋一之部連合町会青年部「京橋はじめ会」の副会長を務めています。
この日は活動のひとつ、月に一度の防犯パトロールの日。近隣の企業も交えた会の一行は、京橋区民館からパトロールをスタート。京橋八重洲~エリアにある11の町会をぐるりと一周します。
店の営業があるため、友野さんは見守る側。パトロール中の仲間が店の前を通りかかると、労いの挨拶を兼ねて立ち話も。
「青年部と言いながら、いつの間にかみんな年をとっちゃいました。でも、地域の活動は変わらず盛んにやっています。育った街のことは大切にしたいですね」。
少し雨が降っていましたが、パトロールは無事終了。緑の防災ベストを脱いだ「京橋はじめ会」の皆さんは、打ち上げのため再び「三喜屋」へ。仕事中の友野さんも一時同席して、みんなで乾杯! こうした飲み会が、地域の情報交換の場にもなっているそうです。
「メンバーとは長い付き合い。中学の先輩もいて、お世話になり続けています。お互い近くで店をやっているから、お客さんとして行き来することもありますよ」と友野さん。
こうした集まりや企業の飲み会に「三喜屋」を利用する地元の方も多いのだとか。「近隣で働くみなさんの集まる場として重宝されるのはありがたいこと。今後も街を盛り上げられる店でありたいですね」。
中華レストラン 三喜屋
住 所:中央区京橋2-12-10
執筆:森夏紀、編集:松尾奈々絵(ノオト)、撮影:小野奈那子