古くからつづく飲食店が肩を並べ、看板を守る矜持が心地よい日本橋。その日本橋の街で、ユニークな歴史をもつビストロが大人気です。「ビストロ デ のんき」は、創意工夫を感じる創作料理のみならず、ご主人の西山さんのお人柄と店の雰囲気のよさに惹かれ、近隣のオフィスワーカーを中心に常連客でにぎわいます。そんな「ビストロ デ のんき」の魅力に迫ります。
現在、「ビストロ デ のんき」が営業する同地で、うなぎ割烹の「蒲焼き のん㐂」を創業した叔母様、家業を継いだお父様のもとで育ったご主人の西山さん。料理人一家に育ったとはいえ、大学時代まで特別な修行などはしてこなかったそうです。
そんな西山さんがこの道に進んだきっかけは、先代のお父様が病に倒れたこと。当時21歳の若さで「蒲焼き のん㐂」の料理人として修行を開始。料理人としての血筋とセンスのよさに加え、持ち前の勉強熱心さでまたたく間に料理人として腕を上げました。
バブル経済が終焉を迎え、時代の大きなうねりをいち早く感じた西山さんがお店の業態変更を決めたのは1998年、今から約20年前のこと。「ポケットマネーで気軽に遊びに来れるお店をやりたかった」と語る西山さんの想いを反映した「ビストロ デ のんき」は、うなぎ割烹時代に信頼を得ていた顧客の心をつかみ、以来、ビストロとして繁盛しています。
「ビストロ デ のんき」の看板メニューは、注文率100%の「生うにのスパゲティー」。1998年の開店以来、素材にこだわった生うにが光る、リピーター大絶賛の逸品として広く知られています。
そのまま食べてもおいしい鮮度のよさが自慢の生うにを引き立てるのは、舌触りと口当たりのよさがたまらない生クリーム。これだけでも充分と感じながらも、それまで口にしてきた同料理とはひと味違う食べやすさ、しっかりとした味わいながらも後味さっぱりの絶妙さ。
その秘密は「隠し味にしょうゆを用い、加えてネギを使用することで、日本人好みの味が完成します。素材を殺さない火加減を重視し、シンプルな調理法も秘訣です」とのこと。この隠し味とさりげない心遣いに、「他店では食べることができない」と常連客を中心に言わしめる理由がうかがえます。
「生うにのスパゲティー」と並び、開店以来、看板として「ビストロ デ のんき」を支えるのが「海老トースト」。こちらも圧倒的な指名を誇る自慢の料理です。
口に含むと、ふんわり香りながらジュワッと広がる海老の旨み、外はカリカリ、中はジューシーな食感。ただ単にペースト状にした海老をのせているわけではないことがよくわかります。それもそのはず。同店の「海老トースト」は、なんと海老真薯(えびしんじょ)が元になっています。和食の定番、海老真薯をパンに塗って油で揚げるとは驚きの発想です。
メニューの発想の元となる「『コレとコレを合わせたら間違いなくおいしい』という引出しは、うなぎ割烹時代の体験がベースです。老舗では料理人は長く修行する方がほとんど。ところが、当時の自分にはその積み重ねがありませんでした。そのため、『お客様においしい料理を提供したい』という想いの強さを活かしてひたすら勉強し、試行錯誤を繰り返して、いろいろな発想や目の付けどころを覚えたんですよ」
謙遜しながら語る西山さんですが、日本橋の料理人仲間の老舗店主が「海老トースト」に感動し、実際につくってみたといううれしいエピソードなどが多々あるそう。実直で明るいお人柄と謙虚に磨いた腕前は、常連客だけではなく、同業種の方々をも自然と引き寄せています。
女性客を中心にオーダー率が高いのは「自家製ジンジャーエール」。手作りならではの、辛すぎず、かつ生姜の深い味わいが体に染みわたります。ジンジャーエールを使うカクテル(モスコミュールなど)にも「自家製ジンジャーエール」を使っています。
「ビストロ デ のんき」は日本橋という土地柄にもかかわらず3,000円(税抜)から用意されているボトルワインあり、多くの小皿料理あり、何度訪れても飽きません。3階建ての店内はフロアごとに個性があり、1階はご主人との会話も楽しめるカウンター席、2階はテーブル席、3階は貸切可能な小上がり席になっています。シチュエーションにあったフロアを選択できることも魅力のひとつ。さらにお得なパーティーコースがいく種類もあり、お酒の数も豊富な飲み放題も用意されていて、会社や仲間同士での集いにもぴったりなお店です。
「お客様の会話を盛り上げ、共にある料理を。笑顔と会話がなによりのごちそうですよ」。とびきりの笑顔で語るご主人・西山さんの想いが息づいた「ビストロ デ のんき」。オフィスワーカーが大絶賛する理由がうかがえる同店にぜひ足を運んでみては。