変化の時代に求められるチームのためのオフィスとワークショップ
去る10月4日(水)、「チームワークあふれる社会を創る」ことをミッションに掲げるサイボウズ株式会社が東京・日本橋のオフィスの会議室を提供し、こども国連環境会議推進協会(JUNEC)主催の「SDGs×レゴRワークショップ」が行われた。中学生以上なら誰でも参加できるオープンなイベントで、50席を用意した会場はキャンセル待ちの人も含めて満席。うち社会人が8割と、今回のテーマに対する世間の関心の高さが伺えた。
日本橋にできた、人と人をつなぐ「Big Hub」
そもそも、サイボウズで「SDGs×レゴRワークショップ」が行われたのは、今年9月に続いて2回目。同社コーポレートブランディング部の渡辺清美さんに開催の経緯を聞いた。
「前回は、東日本大震災の復興支援をご一緒した株式会社クレアンさんの主催で、関係省庁や企業のCSR担当の方などを招待しました。それがご縁で、ワークショップのファシリテーターでこども国連事務局長の井澤さんから今回のオープンイベントを打診いただいたのです。私自身、実際にワークショップを体験しておもしろさは折り紙付きでしたし、私たちのオフィスは『Big Hub for Teamwork』がコンセプトですから、会場を提供させていただくことにしました」。
「らしさ」を追求する働き方とオフィスのあり方
グループウェアシェア日本一(2016年ノークリサーチ調べ)を誇るサイボウズ。業容の拡大に伴い、2015年7月、東京の事業拠点である東京オフィスを文京区後楽から中央区日本橋へ移転した。「Big Hub for Teamwork」というコンセプトには、古くから五街道の起点として、現在でも複数の鉄道路線が集まる日本橋のシンボリックな立地が大きく関係している。
「サイボウズは、『チームワークあふれる社会を創る』ことをミッションに掲げています。グループウェア製品の開発・提供はもちろん、NPOなどの様々な民間のチームの活動も応援しています。今では毎週のように何かしらのイベントがありますから、皆さんが集まりやすい場所を用意できることは、それ自体がホスピタリティといえるかもしれません」。
偶然の出会いによって実現したアイデアソン
働き方改革が注目されて久しい。どんなに作りこんだコーポレートサイトやパンフレットよりも、活き活きとしたオフィスは企業のアイデンティティを雄弁に語るのだ。そして、大勢が集まるイベントという場を通じて、企業と社員、来訪者との深い絆が生み出されていく。渡辺さんはこう続ける。
「前回の『SDGs×レゴRワークショップ』が繋いだイベントがもう一つあります。参加者のお一人が、スマート・インクルージョン研究会代表の竹村和浩さんをご紹介してくださったんです。障がいを持つ方の視点からIoT/AIを生かした社会づくりをしたいということで、『障がい者×旅』をテーマにしたインクルーシブ・アイデアソンを早速、11月26日にサイボウズで開催することになりました」。
そこにはいくつかの偶然が重なっていた。ほぼ同じ時期、NPOプログラムを担当する渡辺さんはNPO法人シェイクハートプロジェクト代表の白井長興さんと出会う。2020年に向け、夢を叶え合う障がい者・健常者のバディ5,000組をつくることを目標に、イベントの企画から運営まで行う白井さんは、車いすユーザーだ。片や、スマート・インクルージョン研究会の竹村さんはダウン症の娘さんを持つ父親であり、英語のプロコーチの顔も持つ。異なる背景を持つ3人の偶然の出会いが、互いの取り組みを加速させたかたちだ。
プライベートと仕事どちらも充実させるために
つながっていくことで、世界の風景は変わる。「SDGs×レゴRワークショップ」の参加者で、日本橋本町の老舗化学メーカーに勤める志田健一さんもまた、多様な人たちの多様な価値観に積極的に触れ、アクションを起こした一人だ。
「新しい関係性は、必要とする情報や人脈を教えてくれます。僕の場合、友人とたった二人で『まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.』をスタートさせたのは2009年のこと。地元横浜市へ、まちづくりについての提言を行ったことがきっかけでした。それからずっと考えていたNPOの申請の準備がようやく整い、年内に法人化の目処が立ちました」。
志田さんは、自分がいいと思ったセミナーやワークショップは人にも紹介するという。
「社会人はプライベートな時間をもつのは難しいという人もいますが、仕事帰りの予定を立てると、仕事を効率よく進める工夫をするようになります。東京でしか開催されないセミナーやワークショップはとても多いんです。それを生かさない手はありません。八重洲や日本橋であれば、地方から出張してきたビジネスマンが仕事を終えて参加しても、最終の新幹線に間に合います」。
人に伝わる言葉はどう生み出されるのか?
変化の時代にあって、多様な他者との協働が求められる中で行われた「SDGs×レゴRワークショップ」。その秀逸な内容は前編で紹介した通りだが、働き方改革の最先端を行くサイボウズの日本橋新オフィスが会場となった今回、一段と特別なプログラムに感じられた。最後に、ワークショップのファシリテーター・井澤さんに企業研修としてのワークショップの可能性を聞いた。
「会議の発言の8割は2割の出席者によるものだといわれています。視点を変えれば、採用される意見は2割で、8割は無視されるか正しく理解されない。みんなそれが分かっているから、発言しないともいえます。その点、レゴを使ったワークショップは全員参加が前提です。さらに、レゴが媒介することで、上司や部下といったパワーバランスがなくなります。実際に機能するチームには自由な発想があります。あと必要なのは、自分の頭の中を『言葉』にして伝える技術。それを手助けするのが他者からの問いなのです。チームで考えることの手応えを、まずはワークショップで感じてほしいと思います」。
<イベント詳細>
SDGs×レゴ®ワークショップ
日時: 2017年10月4日(水)
場所: 東京日本橋タワー27階 サイボウズ株式会社内会議室
主催: こども国連環境会議推進協会(JUNEC)
◆井澤 友郭 (いざわ ともひろ) こども国連環境会議推進協会 事務局長
ワークショップデザイナー、レゴ®シリアスプレイ®ファシリテーター。「持続可能な社会を実現する人を創る」をテーマに活動をしている教育NGO「こども国連環境会議推進協会」の事務局長として、2003年から活動。「持続可能な開発目標:SDGs」や「危機管理」をテーマに、課題解決やリーダーシップ開発などのワークショップを年間150回以上開催し、延べ1万人以上の社会人・学生を育成してきた。
【関連サイト】
サイボウズ株式会社 https://cybozu.co.jp/
「SDGs×レゴ®ワークショップ」詳細 http://junec.gr.jp/sdgs/