気持ちのいい秋晴れの休日となった10月27日(土)、日本橋と京橋を結ぶ中央通り周辺で「第47回日本橋・京橋まつり」が開催され、多くの人でにぎわいました。
本祭りは、1972年に国道の完成を記念し行われたパレードが始まり。現在では、全国各地の祭りや踊りが集まる「大江戸活粋(かっき)パレード」にかたちを変え、さらに、各地の名産品を購入できるほか、郷土料理をその場で味わうことも。
まさに地域を挙げての祭りで今年、写真の愛らしい赤いベンチがお披露目されました。ベンチによるまちづくりの仕掛け「TOKYO BENCH PROJECT」のスタートです。突如現れたベンチは街ゆく人の目にどのように映り、どのような印象を残したのでしょうか。プロジェクトのキックオフイベントの模様をお届けします。
交流の促進と地域の活性化に寄与するベンチ
「TOKYO BENCH PROJECT」は、「日常のまち、まちの1階に人が居る光景をつくる」をテーマに活動するグランドレベル(田中元子氏+大西正紀氏)が、公開空地や歩道など街中にベンチを増やしながら、公共的な居場所を作っていくものです。
2020年に開催される芸術祭「東京ビエンナーレ2020」のアートプロジェクトのひとつでもあり、今回は「東京ビエンナーレ2020 プレイベント」の一環として展開されました。
さて、ベンチが街に置かれると一体どんなことが変わるのでしょうか。グランドレベルによると以下の4つの効用があるといいます。
・歩行距離が上がる
・滞在時間が上がる
・経済効果が上がる
・健康度・幸福度が上がる
ベンチに座ってゆったりと時を過ごすことの豊かさは、皆さんも容易に想像できるのではないかと思います。では次に起こることとは?
ベンチに集った人々の交流です。その結果、地域が明るくなり、さらに人々がアクティブに街に出てきて、会話を交わし、滞在時間も伸びる。ベンチは、こうした好循環を生み出す可能性を秘めているのだといいます。
使う人それぞれの記憶がベンチに、街に積み重なっていく
今回用意されたベンチは、20台のベンチと通常の2倍サイズのビッグベンチです。京橋の東京スクエアガーデンの公開空地と、「日本橋・京橋まつり」当日、中央通り内に設けられた「京橋活粋広場」に設置されました。
街路樹の木陰に沿って並べられたベンチは街の景色に馴染んでいて、プロジェクトのために設置されたとは思えないほど。ベンチの色については、黄色など別案もあったそうですが、「目立つこと」「街にある緑を引き立てること」を理由に赤に決まりました。
プロジェクトの狙い通り、ベンチは設置されるや否や多くの人々が座り、パレードを見学する人、読書や会話を楽しむ人、お弁当を食べる人など、使う人それぞれが居心地の良さを感じることのできる「居場所」となっていました。
ひときわ目を引いたビッグベンチは、大人でもよじ登らないと座ることのできないサイズ。手を貸してあげたり、荷物を持ってあげたり、写真を撮ってあげたり、ここでもコミュニケーションが生まれていました。
京橋から日本中に、ベンチのポジティブな力を広めたい
東京スクエアガーデンの公開空地へのベンチの設置は11月24日(日)まで。グランドレベルは、ベンチの持つポジティブな力を啓蒙し続け、街にベンチを増やしながら地域の課題を解決していきたいとしています。
世界の都市に比べて極度にベンチが少ないといわれている日本。今後、彼らの取り組みにより注目が集まりそうです。そしてベンチを見つけたらぜひ座って、何が起こるかご自身の目で確かめてみてください。
関連サイト
TOKYO BENCH PROJECT: http://japanbench.jp/
東京ビエンナーレ: https://tokyobiennale.jp/