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〈はたらく〉 東京ワークライフスタイル
Front of style

|2019.02.05

朝活、復興支援、ラグビーetc. 働く街がつないだ縁


八重洲・日本橋・京橋エリアで生き生きと働く人々に、朝・昼・夜の過ごし方を伺う連載「Front of Style」。今回は、子育てと複業をこなす三木さん、遊覧船を運営する佐藤さん、ラジオパーソナリティを務める新宮さんにお話を伺いました。

●朝活でワーママとの新しい出会いを この街の落ち着きがとても心地いい
三木 佳世子さん(サイボウズ株式会社)

「朝日を浴びながら、新しい出会いの時間を過ごすのって、最高に気持ちいいんですよね」。

朝7時20分。笑顔でそう話すのは、グループウェアを提供するIT企業のサイボウズ株式会社に勤める三木佳世子さん。社内では、チームワークあふれる会社および社会づくりを目的に掲げる「サイボウズ チームワーク総研」に所属。さらに複業として、メディアPRの事業や発信力を高める講座を開いています。

この日は京橋駅直結のコミュニティ型ワークスペース「東京スクエアガーデン WeWork」で定期開催中の朝活イベント「HARES LADIES MEETUP」に参加。「HARES LADIES MEETUP」は、パラレルキャリアを実践する人たちのFacebookグループで、月に一度、朝に集まって参加者同士が情報交換をしています。

「私自身、パラレルキャリアが自分にとてもフィットしていて、幸せだなと感じています。ですので、パラレルキャリアを望む人が、生きやすい世の中にしていければいいな、と。そのためにも、実践している人が繋がって、学び合い、発信をしていくことが大事だと考えています」。

三木さんは大学卒業後、NHKに就職しました。報道番組のディレクターとして活躍し、2015年に男児を出産。育休を取得し、出産後は時短勤務のかたちで復職しましたが、制限のある働き方に葛藤していたそうです。そのモヤモヤを解消しょうと、朝活コミュニティ「ワーママ解放プロジェクト」を立ち上げ、横のつながりを広げていきました。

今回、朝活に集まったのは、三木さんと同じくパラレルキャリアを実践する5人の女性たち。仕事終わりの夜は使える時間が限られるため、朝の時間だと、時間の調整がしやすく助かる、と話していました。

それぞれ自己紹介が終わると、「この分野の仕事ができる人を探している」「こんな問題意識を抱えている」といったお仕事の話から、ベビーシッターの問題や夫婦間のコミュニケーションの課題まで、途切れることなく会話が続きます。

三木さんがサイボウズに転職したのは2018年の夏。それまで通勤していた渋谷から、八重洲・日本橋・京橋エリアへ移り、「すごく大人な街で働くことになったな」と、日々実感しているそうです。

「30代半ばになった私には、この街の落ち着きがとても心地いいですね。おいしいご飯屋さんもたくさんありますし、街もきれい。歴史も感じられるし、何より東京の中心にいるんだという誇りのようなものも感じます。まだまだ味わい切れていないと思うので、これからもっと魅力を発見していきたいですね」。

9時に朝活が終わると、参加者のみなさんは笑顔でそれぞれのオフィスへ。三木さんも日本橋にある会社に向かっていきました。いつもより少し早起きした今日は、より充実した一日が過ごせそうです。

東京スクエアガーデンWeWork
住    所: 中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン14階
WEBサイト: https://www.wework.com/ja-JP/buildings/tokyo-square-garden--tokyo 

サイボウズ株式会社
住    所: 中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー 27階
WEBサイト: https://cybozu.co.jp/ 


●東京で働きながら東北とつながる 「わたす日本橋」で昼食を
佐藤 美穂さん(舟遊び みづは/株式会社フローティングライフ)

冬は舟上のコタツで熱燗をすすり、春は水上から両岸の桜に見惚れて。「粋な舟遊びを通して日本の文化を伝えたい」と話すのは、日本橋川や隅田川で遊覧船「舟遊び みづは」を運営する株式会社フローティングライフの代表取締役・佐藤美穂さんです。「舟遊び みづは」では、季節に合わせて小型遊覧船のユニークなプランを提供。佐藤さんは企画からガイドまでを手掛けています。

ある日の遊覧船の様子。フルーツ缶とワインのペアリングを楽しむ乗船客の皆さん

船長を務める夫の勉さんと一緒に、普段は水上で昼食をとるという佐藤さん。打ち合わせなどで日本橋エリアに立ち寄った際によく訪れるのが、東北の情報発信と交流の拠点「わたす日本橋」です。

南三陸をはじめとした、東北の食材を使ったメニューを提供する同施設。最上階に設けられた「わたすルーム」では、ドキュメンタリー映画の上映会や、テレビ会議システムを使った東北の中学生との交流などを行っています。

「実は、『飲食店を作ろう』という発想から生まれた場所ではなかったのです」と話すのは、「わたす日本橋」を直営する三井不動産株式会社の宮崎さち子さん。東日本大震災の発生後から個人でボランティア活動を続けていた社内有志と社外協力者により、2014年に社内プロジェクトが発足。南三陸町に通っては町の方々の話を伺い、自分たちにできることは何か検討を重ねました。最終的に、都内における継続的な情報発信と交流の拠点として、2015年に同施設をオープンしました。

宮崎さち子さん(左)と、佐藤美穂さん(右)

一方、佐藤さんは震災当時、起業を目標にクルージング会社で日々勉強していたそう。ボランティアとして現地に足を運んだ経験から、こちらのお店を利用するようになりました。

「復興支援はもちろんですが、食事がおいしいのが通い続けている一番の理由ですね。オフィスが立ち並ぶ日本橋エリアで、土曜も営業している日があるため、おすすめのお店として、乗船されたお客様にも紹介しています」。

この日、佐藤さんが食べたのは「真鱈のミラノ風カツレツ スパイシータルタルソース」。宮崎さんは「漢方合挽きハンバーグとベーコンの重ね焼き 味噌クリームソース」の定食セットを選びました。東北の食材を仕入れてメニュー開発を行い、来店客の反応を現地にフィードバックすることで、一方的な支援ではない、双方向の交流を目指しています。

こちらのメニューもおすすめ。
(左)「気仙沼産 メカジキカツバーガー シェフのこだわりソース」 (この日は「柚子タルタルソース」)
(右)「季節のキッシュ」(この日は「寒鰤(カンブリ)とカブのトマトクリームキッシュ」)
どちらもスープ、サラダ、パン、食後のドリンク付き

互いがうれしくなるようなつながりを、というお店の姿勢に佐藤さんは共感しているといいます。「起業前のように頻繁に現地を訪れることは難しくなりましたが、自分の仕事をしながら少しでも力になれたら」。現在は、南三陸で作られる伝統的な切り紙細工の神棚飾り「きりこ」を生かした椿柄の絵はがきを地元に発注し、乗船客への手土産にしています。絵はがきの代金は、地元の復興支援活動「南三陸椿ものがたり」の費用に充てられるそう。

南三陸の女性たちが手作りする絵葉書

この日、初対面にも関わらず、東北で暮らす共通の知人や活動について話がとまらなかったお二人。「またゆっくりお話ししましょう」と、それぞれ午後のお仕事へ向かいました。東北に心を寄せる人々のつながりが、今日も日本橋で生まれています。

関連サイト
舟遊び みづは: https://www.funaasobi-mizuha.jp 

わたす日本橋
住        所 : 中央区日本橋1-5-8
T    E    L  : 03-3510-3185
営 業 時 間 : 11時~15時(L.O. 14時30分)、17時~23時 (L.O. 22時)
定 休 日 : 日曜・第2第4土曜日・祝日・年末年始
WEBサイト: http://www.watasu.net 


●夜は「日本橋Philly」でラグビーを楽しもう 「日本橋は自分を迎え入れてくれた街」
新宮 志歩さん(中央エフエム パーソナリティ)

仕事が終わったら、パーッと遊びに出かけましょう。普通のチェーンの居酒屋じゃつまらないし、日本橋でどこかおすすめのお店はありませんか? 「趣味はスポーツ観戦と飲み歩き」という新宮志歩さんに、夜のおすすめの過ごし方を教えていただきました。

新宮さんは、中央エフエム「Hello! RADIO CITY」のメインパーソナリティーや、東京駅八重洲口で定期開催されるイベント「東京エキマチライブ」のナビゲーターなどを務めています。連れて行ってもらったのは、東京駅・八重洲口からも近いダイニングバー「日本橋Philly(フィリー)」です。

外壁には、ラグビー選手のサインがずらり。ラガーマンの集い場として知られる同店。2018年には、上階にラグビーグッズの専門店「Rugby Online」が出店しました。
海外チームの公式グッズはもちろん、2019年9月に日本で開催されるラグビーワールドカップの公式グッズも販売しています。こちらでウェアなどを購入して、ダイニングバーのモニターでラグビー観戦と決め込んだら、盛り上がり必至ですね。

生まれも育ちも日本橋である「日本橋Philly」店主の中條好亮さんは、祖父から代々引き継いできたビルに飲食店オープン。一方、学生時代に選手としてプレーしていたラグビーの魅力を地域に広めようと一念発起しました。

中央区在住・在勤のラガーマンが集まり、2014年に中央区ラグビーフットボール協会を設立。翌年夏には、路上に人工芝を敷き、通行人も気軽に参加できるラグビーのイベントを企画しました。当日は、ラグビー選手によるボール回しのパフォーマンスや、ラグビーの得点方法である「トライ」体験などのプログラムを用意。初めて見る選手の体つきやゲームの面白さに、周囲のラグビーファンがじわりと増えた実感があったそうです。

手応えを感じた直後、ラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカ代表に歴史的勝利を収めます。現在は、「日八会さくら祭り」「日本橋京橋まつり」の公式プログラムとして、ラグビーイベントの企画・運営を手掛けています。

中條さんにとって、町内のお店は親子何代にも渡り助け合う仲。おすすめの飲食店についての話も弾みます

一方、新宮さんのご出身は愛媛県。大学3年生の時に選ばれた「第31代中央区観光大使」として活動するうちに、日本橋エリアの魅力にはまっていきました。観光大使の任期満了後、新宮さんはラジオの仕事に初挑戦することになりました。今では中央区のローカル情報を番組で紹介するために、あちこち取材で駆け回っています。

フード:左から「タパス盛り合わせ」「ラグビーボール風ソーセージ」「ラムチョップ」
ドリンク:左から「Tui (トゥイ)」「Janction Sauvignon Blanc/Pinot Noir(ジャンクション ソーヴィニヨンブラン/ピノノアール)」

日本橋Phillyの名物メニューをチェックしてみましょう。すぐ目に飛び込んできたのは、「ラグビーボール風ソーセージ」「ラグビーボールオムライス」など、このお店ならではのラインアップ。アルコールメニューは、ニュージーランドやアイルランド、イタリアなどラグビー強豪国のビールやワインをそろえています。ラグビーのことがわからない人でも、おいしい料理とお酒で大満足できそうです。

新宮さんの好きなメニューは、マッシュポテトと生卵をバゲットにつけて食べる「エッグスラット」やエビを香ばしく揚げた「ガーリックシュリンプ」。「いつも大好きなハイボールと一緒にいただいています!」と、おすすめしてくれました。

「ラグビーには、『One for all, All for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)』という考え方がある」という中條さん。

「祖父の代から町内会の互助的な文化を大切にしているんです。ラグビーを通して地域と関わる前例をうちのお店で作ることで、この街が他のスポーツ競技や文化などに対して柔軟な姿勢でいられる風土を作りたいです」。

新宮さんは、「実は、都会の人間関係って、もっと冷たいものだと思っていたんです」と苦笑い。「でも、日本橋をはじめ中央区の人たちと交流していくうちに、そんなイメージは吹き飛んでしまいました。『日本橋Philly』も、そんな楽しい交流ができる、お気に入りの場所のひとつ。私も、仕事でもプライベートでも、街を盛り上げるきっかけづくりをしていきたいですね」とほほ笑みます。

人情家の江戸っ子気質とスポーツマンシップが交わることで、日本橋の街はますます活気づきそうです。

関連サイト
Hello! RADIO CITY     :  http://fm840.jp/blog/hello/
Rugby Online         : http://www.rugbygoods.com
中央区ラグビーフットボール協会: https://www.crfu.jp 

日本橋Philly
住         所: 中央区日本橋3-2-13 中條ビル1・2階
T    E    L  : 03-3527-9795
営 業 時 間 : 11時15分~14時(L.O. 14時)、18時~23時 (L.O. 22時)
定 休 日 : 土曜、日曜、祝日
WEBサイト: https://www.facebook.com/pages/日本橋フィリー/335787103260387

執筆:森夏紀、松尾奈々絵(ノオト) 撮影:栃久保誠、二條七海

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