案内&文/永浜敬子 撮影/工藤睦子
クリスマスが近づいてきました。早くもあちこちのお菓子屋さんでは、クリスマスケーキの予約が始まっています。人気のお菓子は、数量限定がほとんど。そこで、今から役立つ、クリスマスの手みやげにおすすめのお菓子をご紹介しましょう。
京橋駅直結の京橋エドグラン。「歴史と未来の交差点」をコンセプトに、京橋の地で愛され続けてきた老舗から、話題の人気店まで、魅力あふれるお店がいっぱい詰まった京橋の新しい顔とも言われている複合施設です。
こちらの1、2階にあるのが、表通りからも一際目立つ「Toshi Yoroizuka TOKYO」。
1階はパティスリー。定番のデザートはもちろん、エクアドルの「Toshi Yoroizuka Cacao Farm」から届くカカオ豆でつくられたショコラ、小田原の「一夜城Yoroizuka Farm」で大人気のパン、ロカボスイーツ、地方の農家や自治体との連携によるYoroizuka Farmブランド品などがずらりと並ぶ様は壮観です。
1階にはカフェも併設されていて、サイドイッチなどの軽食も人気。そして2階には、ワインやシャンパーニュとともに、デザートのコースが楽しめるデザートサロンが設けられています。
「今まで積み重ねてきたものを一堂に集めた、いわばToshi Yoroizukaの集大成。京橋という街は、古いものと新しいものが同居した魅力ある街です。目に見えるものだけじゃなくて、お祭りや人と人のつながりなど、昔ながらの良き風習も根付いている街。そんな京橋に、旗艦店を持てる機会を与えていただいてとてもうれしく思っています」とオーナーシェフの鎧塚俊彦さん。
その言葉を体現するような、京橋店限定のお菓子も盛りだくさん。江戸時代、日本橋から京へと向かう最初の橋として栄えた京橋。その新しい名物として登場した「Kyoubashi」は、なんと“出汁”と“柚子”を入れて焼き上げたパウンドケーキ。
「京橋には昔から鰹節問屋が数多くあったことから、鰹出汁に注目しました。特有の生臭さを消して、鰹のコクを際立たせるために柚子と組み合わせてみました。バターともよく合うんです」と鎧塚シェフ。
ほかにも京橋店だけの限定商品があります。「リンツァートルテ」もその一つ。ふわふわスポンジ系より、がっしりみっちり濃厚なケーキが好きな私のイチオシです。鎧塚シェフが修業されたスイスやウィーンでは、ヘーゼルナッツとレッドカラントやフランボワーズのジャムで作る伝統菓子ですが、こちらでは信州産リュバーブのジャムとクルミを使ってアレンジされています。バターたっぷりの生地に、甘酸っぱいリュバーブと香ばしいクルミがたっぷり。
これは新鮮なおいしさ! 古き良き伝統のお菓子が洗練されたおいしさに生まれ変わっています。常温で持ち歩きできるので、ギフトや手土産にぴったりですね。
そしてクリスマスといえば、やっぱりシュトーレン。12月の声を聞くと、お菓子屋さんやパン屋さんにも登場するクリスマスケーキの代名詞です。お店の数だけ様々なシュトーレンがありますが、「うちのは、バターをふんだんに使ったリッチでずっしりとした昔ながらのシュトーレン」と言う鎧塚シェフの言葉通り、手に持つとずしっ!
見た目の大きさよりずっと重量感があります。ブランデーに漬け込んだドライフルーツたっぷりのパウンドケーキを溶かしたバターの中にドボン! バターに漬け込んだ後に粉糖をまぶして乾燥を防ぐのですが、このバターをたっぷり含んだ粉糖が、たまらなくおいしい!
そして個人的に、好きなお菓子の5本の指に入るパン・デピス。クリスマスのパン・デピスは、ふんわりとした生地の中にスパイスとフルーツがたっぷり。可愛いクグロフ型で焼いてあります。サイズも小ぶりなので、ちょっとした手みやげに最適です。
ほかにも色とりどりの焼き菓子が詰まった「ノエル・ホワイトボックス」は、大きな白い本をかたどった箱も素敵です。大人数のパーティーに差し入れしたら、注目を浴びそう。
「集大成の店ではありますが、もっともっとさらに発展させていきたい。まだまだやりたいことがいっぱいあるんです。京橋の街とともに進化していきたい」と目を輝かせる鎧塚シェフ。シェフの新たな歩みがこれから楽しみです。
クリスマスケーキといえば、誰もが思い浮かべるのが、真っ白な生クリームと真っ赤ないちごのホールケーキ。ジングルベルのメロディーが一番似合うクリスマスケーキですよね。シンプルなケーキだけにモノをいうのが、生クリームといちごのクオリティ。そのどちらも文句なしのおいしさを誇るのが京橋千疋屋だと思っています。
京橋千疋屋は1881年に果物商として創業した、日本を代表する果物の老舗。マスクメロンをはじめとした高級フルーツで有名ですが、スイーツのおいしさも見逃せません。
クリスマスの定番は、何と言っても生クリームといちごがたっぷりの「苺のショートケーキ」。ケーキの上にはもちろん、中にもいちごが丸々はさまれているので、切ったときに大きないちごが顔を出す瞬間がたまりません。濃厚なのに、さっと口の中で溶ける生クリーム。食べた後もしばらくミルクの香りがふんわり漂うほど、ミルキーなおいしさです。
「いちごの種類は決めず、その時に一番おいしいものを選んでいます」と営業企画部長の中村保さん。
このいちごが、素晴らしくおいしい! 甘くって、ほどよく酸味があって、果汁たっぷり。こちらのフルーツをいただくときにいつも感じるのが、フルーツって、甘みだでけはなく酸味、ときに苦味も活きてこそ、本当のおいしさである、ということです。
「苺のショートケーキ」は、それを再認識させてくれるケーキです。いちごが大きいので高さがありますが、大きくカットしても、口溶けが軽いのですんなりお腹に収まります。
小さなお子様がおられるご家庭には、サンタさんやチョコのおうちがデコレートされた「ハッピー・クリスマス」やコクのあるベルギーの生チョコクリームを使った「チョコレートクリスマス」もおすすめです。
一方、大人だけのご家庭、あるいはお酒好きな方に選ぶなら、「プレミアムフルーツケーキ」がおすすめ。
ナッツとブランデーにじっくり漬け込んだドライフルーツがふんだんに盛り込まれ、生地にもブランデーをたっぷりきかせた大人のフルーツケーキです。小サイズでも1kg、大なら2kgにもなるどっしり感。私の好きなどっしりみちみち系!
そして、木箱入りなところも、このケーキが私の手みやげの定番になっている大きなポイント。白木の木箱を開けると、しっかり焼き込んだダークブラウン。渋い! 派手さはないのですが、この重厚で品格ある佇まいは、きっと印象に残る贈り物になると思います。
開封しなければ60日間おいしくいただけるので、クリスマス直近に会えない方への手みやげにもいいでしょう。
京橋千疋屋だから、「もっとフルーツ感を!」という方に、ぜひおすすめしたいのは、「グルメデザート ウインターセット」。焼きリンゴとロングセラーのくり抜きゼリーのセットです。京橋千疋屋に焼きリンゴが出始めると「ああ、冬が来たなぁ」と体感温度以上に寒さを感じる体質になっている私としては、この季節にはずせないギフトなのです。
最近では少なくなった紅玉を丸ごと、シナモンシュガーとはちみつとブランデーをかけてオーブンで焼き上げる昔ながらの製法。フォークでカットできるほどに柔らかく焼き上げられた皮の中には、甘酸っぱいリンゴのおいしさが詰まっています。温めるとさらに香り立ち、柔らかさも増して格別です。
くり抜きゼリーは、オレンジとグレープフルーツの中をくり抜き、しぼりたての果汁を余さず使用。「蓋になっている部分には、あえて少し果肉を残しています。食べるときに絞っていただくと、よりフレッシュ感がアップします」と中村さん。
その通りにして食べると、むちゃくちゃフレッシュ! ゼリーは一度固めたものをクラッシュして、再度固められているので、キラキラと輝く様がとってもきれい。器になっている皮の内側にも果肉が残されているので、ゼリーと果肉をすくいながらいただくとおいしさ倍増です。
そもそもフルーツがおいしい京橋千疋屋。その良さを残しながら、フルーツ以上においしいフルーツのスイーツに仕立て上げているのは、さすがフルーツを知り尽くした老舗の技だと思います。「アイスクリーム&シャーベット」もフルーツ以上にフルーツを感じたいときにおすすめです。
案内人プロフィール: 永浜敬子(ながはま・けいこ)
京都府出身。料理、食文化を中心にビジネスからゲーム、サブカルなどの執筆多数。著書には 全国の郷土料理&ソウルフードを紹介した47都道府県のお国自慢グルメ『食わせろ!県民メシ』(講談社)、『東京出張』(京阪神エルマガジン社)、リージョナルな県民性について紹介した『ビバ!いなかもん』(講談社)、『いなかもんの踏み絵』(ぺんぎん書房)、『なまり亭』(ワニブックス)などがある。
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