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〈さんかする〉イベントレポート
Event report

|2020.10.26

フレンチと和食器の共演 1日限りの美食倶楽部をレポート

10月20日(火)、京橋の「KITCHEN STUDIO SUIBA」にて陶磁器の新作発表イベント「響心-kyoshin-」が開催され、新作を使ったテーブルコーディネート展と、古賀純二シェフ(シェ・イノ)による盛り付けデモンストレーションが行われた会場には、入れ代わり立ち代わり約120名が訪れました。

佐賀県と長崎県にまたがるエリアはかつて「肥前」と呼ばれ、今なお多くの窯元が残ります。日本のやきものは陶器と磁器の大きくふたつに分けられますが、1616年に日本初の磁器が焼かれたことから、肥前は日本磁器のふるさととされています。

そんな歴史ある肥前やきものの産地を代表し、伊万里鍋島焼窯元の畑萬陶苑、有田焼窯元の李荘窯、三川内焼窯元の平戸松山窯がこの日のために用意した新作はすべて、空間コーディネーターの佐藤由美子さんとのコラボレーションから生まれたもの。父母が佐賀、長崎の出身という佐藤さんが窯元に呼び掛けて実現しました。

さらにもうひとり、思い入れのある土地のために一肌脱いだのは、京橋のフレンチの名店「シェ・イノ」で料理長を務める古賀純二シェフです。佐賀県の実家が料理屋を営んでいたことから、幼い頃から料理へ強い憧れを抱いていたという古賀シェフ。「料理を盛ることで食器も生き生きとしてくる」と話し、盛り付けデモンストレーションを通じて、コロナ禍で大変な思いをしながらも窯元が新しい試みを加えた食器の魅力を、メディアや、レストラン・ショップ関係者係者などにアピールしました。

色鍋島の伝統的な技術を背景に、畑萬陶苑4代目・畑石眞嗣さんによって描き上げられた蟹牡丹柄の高台皿。古典図案ながら新しく見えるのは、プラチナ彩など伝統様式とは異なる配色が理由です。古賀シェフはその美しい絵柄を活かし、冷たいジュレの状態でコンソメをいただく一皿を仕上げました。富貴の花とされる牡丹と、シェ・イノが誇る黄金のコンソメの出会いは、今回のフレンチ×和食器の独創的な料理を最も象徴するものでした。
 

染付の牡丹唐草文様の皿は、李荘窯4代目・寺内信二さんの作品。古伊万里の陶片にみる、長い時間を経ても色褪せない魅力的な青に魅せられて創作活動を行う寺内さんの白と青の食器に、古賀シェフが合わせたのはこっくりとした栗色。佐賀の実家から送られてきた栗を使ったモンブランが有田焼で供されるという心憎い演出で、器と料理のマリアージュを参加者は大いに楽しんでいました。

「オマール海老と蕪のサラダ、ハチミツのドレッシング」に始まり、「冷たいコンソメ」、「カエルもも肉のフライ」、そして「モンブラン」で締めくくられた盛り付けデモンストレーション。

主催した佐藤さんは、「京橋にはかつて、美食とそれにふさわしい器を追求した魯山人の『美食倶楽部』がありました。そんな歴史ある場所で、尊敬する窯元とシェフ、そしてご来場の皆様と気持ちを重ねられたことをとてもうれしく思います」と話し、今日この場所でたくさんの笑顔と縁が生まれていました。

「響心-kyoshin-」新作発表イベント
開催日:2020年10月20日(火)11:00~18:00
会場:KITCHEN STUDIO SUIBA
参加作家(窯元):畑石眞嗣(畑萬陶苑)、寺内信二(李荘窯)、中里月度務(平戸松山窯)、中里進也(平戸松山窯)
参加シェフ(レストラン):古賀純二(シェ・イノ)
主催:食空間デザインStudio Stråle
共催:東京建物株式会社
企画制作協力:株式会社POD

関連サイト
畑萬陶苑 https://hataman.jp/
李荘窯 http://www.risogama.jp/
平戸松山窯 https://www.hiradoshouzan.com/
食空間デザインStudio Strål https://www.strale.jp/
Chez Inno(シェ・イノ)京橋 http://www.chezinno.jp/
KITCHEN STUDIO SUIBA https://sui-ba.com/

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